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会議

会議にはいろいろな種類がありますが、
その内容に大きく影響するのが構成メンバーです。

今日は市が主催するもので、
様々な団体の代表と市民から選ばれた方が参加しておられました。
前任者からの交代で医師会代表として初めて出席しました。

病院内や医師会の会議のように同じようなバックグラウンドの参加者とは違いますし、
構成メンバーに上下関係や行為者と受益者のような関係もありません。

会議とは複数の関係者が集まって話し合いを行うとあります。
改めてレジメなど見直してみると
会議ではなく運営委員会でした。

報告事項があり、協議事項があり、
前者では参加者が意見を述べ合い、協議事項ではどちらかと言うと大筋に対する賛同を得ていくような感じでした。

何の運営かと言えば市の国民健康保険に関するものです。

対象となる内容が大きすぎてその場で何かを決定されるようなことはありません。
参加者同士が話合うこともありません。
基本的には市の担当者からの説明に対して質疑応答でした。

初めて参加してこの会の全てを理解するものではありませんが、
率直な印象としては、必要な会だろうか?です。

何も決めないし話し合う風もなさそうです。
参加者による双方向のやり取りがなく、
主催者と参加者が話しているだけのように感じました。

最後にその他の意見として興味深いことが出ました。
1.報酬額が周辺市町村と比べて極端に低額である。
2.夜6時半からの開催は如何なものか。昼間にやるべきではないか。

個人的には賛同します。
実はそもそも報酬が出ることは知りませんでしたが、
確かに一般常識から考えて安すぎると思いました。

また夜6時過ぎは概ねプライベートな時間であり、
通常会議は9時から5時の勤務時間内だろうと思いました。

ただそれであれば医師会、歯科医師会、薬剤師会の参加は困難です。
個人的には会議は夜7時以降にして欲しいと思います。
昼間は診療のための時間です。
そして更に言えば、会議は30分まで。
人間が集中出来るのは通常10から15分です。

大学病院時代、私は出来るだけ運営委員会では委員長をやりました。
そして時間は必ず30分以内。早ければ10分。
それで決まらないことはどれだけ時間を掛けても
話合ってもその場では決まりません。
我々医師にとって時間は貴重です。

偶々ですが、医師会からもうひとり出席しておられた先生も同じ心臓血管外科医です。
初めて参加した私にいろいろお話下さいましたが、
何となく以心伝心であったことは
同じ釜の飯を食ってきたんだなあと思わせました。

今回で同じメンバーでの運営委員会は最後だったようです。
次回は来年度のようですが、
もし私が主催者に近い立場なら、会の存在自体を検討すべきと思いました。

もしこの内容で進めるのであれば、
市の担当者が関係者の元へ出向いて直接意見交換する方が効率的で、
もしかすると本音や裏話も聞けて有意義かもしれません。
ついでに主催費も人件費も節約出来るでしょう。

30分早く終わりましたが、
戻って残りの仕事を済ませました。

院長 小西宏明

2024-11-05 21:03:00

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インバウンド

夕方にベイエリアを走行すると軒並みホテルの窓に灯りがついています。
今日は3連休の最終日で、
大抵の方は明日から仕事ではないでしょうか。

となれば外国人旅行客か現役引退の方々が、
はたまた連休に合わせて長めの休暇を取った方か。
いずれにしても多くの方がホテルに宿泊しているわけで、
観光は盛況ということでしょう。

京都に代表されるようにオーバーツーリズムが課題となっていますが、
函館の状況はどうでしょうか。
コナンの映画の影響で夏は市電がとても混雑したと聞きました。
五稜郭周辺の駐車場は大丈夫だったのでしょうか。

少なくとも西部地区では歩道に人が溢れるとか、
駐車場の大渋滞とか、
路上にゴミが散乱したとか、
余り聞きません。

今月末からは1年の最後のイベントであるクリスマスファンタジーが始まります。
昨年以上に多くの観光客が押し寄せるかもしれませんが、
さすがにGLAYのコンサートほどではないと思います。

毎年11月になると
「今年も余すところ2ヶ月になりました。」とテレビラジオで聞くことがあり、
師走でもないのに「もう1年終わるのか」と思ってしまいます。
そして改めて年末年始の休みのことを考えます。

今年は当院は12月29日日曜日から1月3日金曜日までが
休診にします。暦通りの6日間です。

年末年始は昔から旅行はしません。
何処に行っても混雑するし、北海道に来てからは雪による交通が心配ですから。
実は年末年始は当直バイトするのが賢明です。
病院を選べばそれほど急患対応に奔走することはありません。
もちろん特別手当も支給されますし、
何よりも常勤の先生達が休めるので喜んで頂けます。
当直室で年越しなんてことも慣れれば”おつ”なものです。

今年も例年通りの”師走前”の1か月を粛々とこなしたいと思います。

院長 小西宏明
 

2024-11-04 21:36:00

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町中華

時々YouTube動画でいわゆる町中華の繁盛店のレポートを見ています。

特に中華が好きなわけでもなく、
有名店に食べに行こうという訳でもありません。

興味をそそられるのはオーナーの拘りだったり、
繁盛する理由です。

例えば良い肉を使うとか、味付けのために寝かせる時間だとか、
油を毎日交換するとか、餃子は人の手で握るとか、
目で食欲をそそるような盛り付けとか、
そして
キーとなる看板娘や女将さん、行き届いた掃除、
ピカピカに磨かれた厨房など。

YouTube動画が発展したことで、
古くからある街の小さなお店にもスポットがあたり、
さらに店主の拘りが披露されることになりました。

どんな仕事でも長年続けられているのには
必ず理由があるのです。

人が何を考えて毎日仕事に取り組んでいるのか、
同じプロとしては参考になります。

今月1日、五稜郭病院で大変御世話になった先生が御開業されました。
場所柄、近くには同じ専門医の先生も数年前にクリニックを開業されています。
当然、事前に診療圏調査はされたはずで、
患者数を増やす方策は練られていたと思います。

これから何に拘って、何を大切にしてクリニックを立ち上げられていくのか、
総合病院の肩書きが外れて個人として仕事をしていくことには
大変なギャップがあります。

「初心忘るべからず」だと思います。

院長 小西宏明
 

2024-11-03 20:56:00

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風邪症状

風邪症状や発熱の患者さんは一定割合コロナに感染しています。
あれだけ世の中を騒がせてきたにもかかわらず
未だに自分だけは違うと思っている方が少なからず見受けられます。

先日も熱がない風邪症状の方が、
コロナではないと言われながら検査をすると陽性でした。
ご本人は多少ばつが悪そうでしたが、
コロナだけは医師でも診断出来ません。

大流行の際にはコロナに罹りたくない、
検査して欲しいという方が多かったのに、
今では自分だけは違うと自己診断されるのです。

おそらく5類になって感染状況も公開されず、重症化の話も聞かなくなり、
もう自分は感染しないと思われているのでしょうか。

医療機関で最も困るのは自己診断をして普段通りに受診される場合です。
当然他の患者さんや医療従事者が感染します。

一方で患者さんの中には病院で感染したと言われる方もおられます。
以前、当院でもインフルエンザに感染させられたという人がいましたが、
その日はインフルエンザはおろか、風邪の患者さんもいませんでした。

コロナではないという判断や
病院で感染したという思い込みも
いずれも科学的な根拠に乏しいと言わざるを得ません。

ただ我々は一般に
自分は病気ではないと思いたいし、
病気(感染症)になったら他人の性にしたくなります。
誠に勝手は生き物です。

当院では原則検査をしていない風邪症状や発熱患者さんは
駐車場で薬のみの対応をしています。

病状に変化があった場合の対応方法を説明したり、
処方日数も少なくしています。

最近少し気をつけているのはマイコプラズマの流行による咳症状です。

マイコプラズマはインフルエンザや風邪よりも無症状の潜伏期間が長いのが特徴です。
また咳が長引く割に、医療機関の受診や投薬を受けなくても治癒することも多々あります。

流行そのものは18歳以下、特に小児に多いため、
成人を対象としたクリニックで頻繁に出会うことはないのですが、
注意しています。

医学的な根拠に基づかない発言は最近でも問題となっています。
明治製薬の新種のコロナワクチンに関しては
とうとう製薬会社が個人を訴えるところまで来ました。

人間の身体は百人百通りかもしれませんが、
医師の知識や経験、医学的見地は
一般の方々のそれを凌駕しています。

これから気温が下がって感染症のシーズン到来です。
体調管理は言うまでもありませんし、
医師や看護師、医療従事者の話にはきちんと耳を傾けて
指示に従って頂きたいと思います。

院長 小西宏明

2024-11-02 22:34:13

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103万円の壁

何処のニュースを見ても103万円ばかりです。

しかし実際にはその先にはもっと高い壁はあり、
単純に上げただけでは手取りが逆転して減ることになり、
そう簡単ではありません。

主な理由は社会保険料で、言わば将来への積み立てです。
つまり自分達の老後を支えてくれる年金の原資です。

我々が給料が増えたと実感するのは額面ではなく、
実質の手取りです。
その手取りを減らしている主な要因が税金や保険料です。

故に今回の提案は税金の部分にメスを入れようということになります。
そもそも178万円の計算には疑問があり、
とてもこのまま受け入れるべきではないと思います。

一方で103万円を決めた根拠は昭和の古の時代であるため、
少なくとも基準を変えて行くことは不可避だと考えます。
しかし手取りが増えたと実感出来るレベルになるかどうかです。

極端に変更出来ない理由は2つ。
ひとつは社会保険料を下げるわけにはいかないこと。
もうひとつは減税となってしまう数兆円を補填出来ないだろうということ。

もし仮に手取りが増えたとして、
多くの国民は貯蓄に回すでしょう。だって老後が心配ですから。
購買が増加して消費税収が増えるとはとても考えられません。

一方で基準を引き上がるメリットも2つ。
ひとつは103万円を超えて働けるようになったことでの
労働者不足の補填につながること。
これまで就労時間を気にしていた人達の時間自由度が増えます。

もうひとつは仕事へのモチベーションアップ、
人生の質の向上です。
仕事して沢山お金を稼ぐことは自分の存在価値を高められると思います。
やはり頑張って、それを何らかの形で認められることは重要です。

103万円の議論をみていると
恰も国政を握っているのが国民民主党のようです。
第二政党である立憲民主党の陰は一段と薄くなった気がします。

与党勢力が議会の過半数を越えていなければ
立法を含めて政治は前進出来ないことが明白です。
今の状況は、誰も何も決められない状態です。

こうして考えると米国の2大政党制にあるような
物事をグイグイ推し進める政治体制に納得させられます。
もちろんそこでの暴走を食い止めるのが上下両院制度です。

ここ数年医師会活動を行ってくると
国民の健康が如何に政治に依存しているかわかります。
一番大きな理由は医療提供と引き換えの医療費の問題があるからです。

そして一部の先生方が、
医師でありながら国政に関与していく理由が見えてきます。
今回の衆議院選挙では医師の約半数が当選していました。

いずれにしても数年おきに起こるこのような政治の停滞は
様々な弊害を巻き起こします。
しかし大きな変化を嫌う日本には適しているのかもしれません。
緩やかに物事を調整するのが日本人の真骨頂です。

また粛々と政治の行方をみたいと思います。

院長 小西宏明
 

2024-11-01 21:02:00

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新青森駅

新青森駅の中には沢山の土産物店やカフェ、レストランがいくつもあり、
行く度に新函館北斗駅との差を感じます。

それでもネットでは「新青森駅や周辺には何もない」と評されています。
確かに駅周辺は住宅街で、○○通りとか△△銀座などのような商店街はありません。
徒歩10分くらいでもポツンポツンとお店がある程度です。

函館の状況はもっと深刻です。
新函館北斗駅にはコンビニらしいお店が1軒とお土産屋がチラホラです。
とてもここでゆっくり過ごせる雰囲気はなく、
所謂新幹線の通過駅の感は否めません。

駅周辺に目立つのはレンタカー屋ばかりです。
住宅すらほとんどなく空き地が目立ちます。

毎年、毎週のように新函館北斗駅を利用していると
人口減少が加速度的となった道南地区において
ここでの新たな街の発展は望むべくはありません。

函館に来て10年経ちましたが、街の中心となる場所がないとみています。
昔は函館駅周辺や十字街がその役割を担っていたようですが、
では昨今は本町辺りに場所替えしたと言えるでしょうか。

例えば街の活気を下支えする学生達が屯する場所は何処でしょう。
シエスタ?上磯イオン?ドンキ?

こうしてツラツラと考えていると
やはり「札幌に行こう!」が重要な選択肢です。

北海道新幹線が札幌延伸した暁には
学生向けに日帰り往復格安チケットを販売してはどうでしょうか。
休日に友達とつるんで札幌に遊びにいくのです。
見たり、食べたり、買い物したり、あらゆる娯楽の時間が想定出来ます。

1時間の移動距離は東京や大阪を考えれば
当たり前の移動時間です。

高校の同級生が北海道新幹線の工事の責任者をしています。
彼からの情報によれば脆弱な地盤と逆にその規模さえ同定出来ない強固な岩盤によって
少なくとも2カ所で苦戦しているそうです。

確かにJR北海道から2030年開業が延期されて、
未だに次のゴールが表明されないのはそのためです。
トンネルを掘り進む試験掘削でさえ出来ないのです。
2035年でさえ危ういかもしれないと個人的には考えています。

そしてそれまでに大いに期待しているのが
七飯ー大沼の北海道縦貫道路の延伸です。

これは物流において大きな恩恵があるばかりか、
我々一般市民にとっても札幌往復の利便性が向上します。
道路の開通が及ぼす影響は函館新環状道路の空港線をみれば明らかです。

函館は様々な分野での”通過駅”、”中間点”として重要な地理的条件があります。
この特徴を活かすべく今後も考えたいと思います。
キーワードは「足し算ではなく引き算」

院長 小西宏明

2024-10-31 21:36:00

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シュレッダー

5年間使用したシュレッダーが壊れたため
新しいタイプに買い換えました。

数枚ずつ投入する従来型にしようと思いましたが、
いろいろ調べてみると一度に沢山の紙を置いておくだけで
後は勝手に機械が取り込んで粉々にしてくれるタイプがありました。

沢山の資料や雑紙を処理する場合、
機械に付きっきりになる必要が無く、他の仕事に時間を使うことが出来ます。

考えてみれば数十枚の資料を自動で読み込んでくれる高性能コピー機があるわけですから、
同じように”破砕”する機器があっても至極納得です。

キーワードは”自動”です。
いちいち人の手を煩わせることがない。
一番の効能は時間の有効活用だと思います。

ただボーとする時間は無駄です。
同じ作業の繰り返しもまた無駄です。
要するに頭を使わない単純作業です。

因みにシュレッダー作業は個人的には嫌いではありません。
何故ならゴミがまとまりやすくなるからです。
A4の紙をそのままゴミ袋に入れると必ず紙の角が出来て、
袋が破れることがあります。
破れると他のゴミが出てしまうのでテープで修復しなければなりません。
また下手に丸めると無駄な空間が出来て
沢山のゴミを詰めることが出来なくなります。

ゴミの回収費用を節約しようとしているわけではなく、
生理的に角張ったゴミや余分な空間がある袋の存在が嫌いなだけです。

当院のスタッフはとても上手にゴミをまとめてくれます。
特に医療廃棄物は特殊なプラスチックの容器に入れて回収してもらわなければなりませんが、
一見すると入り切らないようなゴミの山を圧縮してギリギリのところで蓋を閉めています。

こちらは紙ゴミなどと違って処理費用が高額であるため
出来るだけ沢山のゴミをに詰め込む方が得になります。
小さなことではありますが、クリニックのような規模の事業所では
日々の経営努力は必要です。
スタッフには感謝です。

ところで今回壊れたシュレッダーは
実は粉砕部分ではなく、機器を支えるキャスターです。
キャスターを全て取り除いてしまえば据え置き型シュレッダーとしては使えます。

これを”ゴミ”とするかどうか?
回収には費用が掛かりますから思案中です。

院長 小西宏明

2024-10-30 18:19:18

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新しい術式

先日静脈瘤治療には欠かせないレーザーカテーテルの業者から
新しい術式の申請が認められたと連絡がありました。

最終的に保険収載されて点数が決まると一気に普及していくはずです。

下肢静脈瘤へのカテーテル治療は専門医であることの他に、
実施医としての資格申請が必要で、
従来からある術式のように研修医でも施行可能なものではありません。

つまりある程度この分野における知識や経験が前提となる術式だということです。

にもかかわらず保険点数は数年前に一気に30%減額され、
さらに今年も少し減額になっています。

新しい技術が普及して広く安全に行われるようになることで、
保険点数が下げられることはよく見られる対応ですが、
手術を行うための資格が必要であるにもかかわらず、
その専門性が全く考慮されないやり方は如何なものかと思います。

そもそも日本独自の保険点数制度には
医師の経験年数や専門性が考慮されません。
同じ術式であれば研修医が行っても指導医や部長、科長クラスが担当しても
同じ料金です。

これについては以前からあらゆる外科系診療科から問題視されています。
手術の難易度に応じて資格制度を設けることは患者の安全を考えて当然ですが、
そのために研鑽を積んだ医師に対して何も技術料が考慮されないのです。

一方で保険診療を取り扱う立場のことを考えると、
制度設計、点数配分が難しいであろうことは容易に想像出来ます。
術者の技量評価に関わるわけですから。

これを最も単純に解決する方法のひとつが自由診療です。
手術料を病院ごとに術者自らが自由に決定していくのです。
これは欧米では当たり前です。

陶芸教室で造った器と人間国宝の器が同じ価格であるはずはありません。

さらに手術は医師だけで行うことは出来ませんから、
病院の規模や専門度に応じて対価を決定する必要があります。

大学病院から個人開業へ転じて
常々感じるのはやはり医師の技術料評価の困難さです。

詳細な問診、丁寧な診察から鑑別診断を練って
仮説に基づいた検査を行い、最終診断に至る。
おそらく医療費としては必要最小限だと思います。

しかし他方、いきなりCTやありとあらゆる血液検査をサッとやれば、
確かに異常が直ぐに検知出来るかもしれませんし、医業収入は高額です。
但しそんな医療を行っていると国の財政は逼迫しますし、
医師の質はどんどん低下するでしょう。

質の高い医療を目指そうと努力すると
病院の収入は減るという理不尽な状態があるのです。

今回も新しい術式が認められたとのことで、
内容的には高度な技術を要するものです。
是非とも妥当な点数による保険適応として頂き、
医師の日々の努力が報われるようにして欲しいと思います。

難しい技術であるが、患者さんに有益であるなら
それなりの対価は認めていかなければなりません。

院長 小西宏明

2024-10-29 21:28:00

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カスハラ防止条例

今月東京都でカスタマーハラスメント防止条例が成立し、
来年4月から施行されることが決まりました。
中小事業者からはひとつの規範となり得るものとして
好意的に受け止められています。

昨今このような○○ハラスメントが増えており、
世の中の意識としても行き過ぎた迷惑行為が注目され、
それを改善、禁止する方向に向かっています。
セクハラ、パワハラはその最たるものです。

では何故人々はハラスメントを行うのでしょうか。
これに関しても多くの専門家が分析されています。

例えば権利意識の高まりです。この背景には「お客様は神様です」に代表されるように
事業者側が顧客へのサービス向上に努めた結果として
際限の無いサービスを求められる結果に繋がったとも考えられます。

またそれと似た意識ですが、期待する結果や求める結果が高いレベルになりすぎることもあります。
つまり事業者と顧客の到達目標に大きな乖離があるのです。

次には顧客側が声を上げやすい環境が出てきたことです。
カスタマーセンター、公的には消費者庁、さらにSNSの普及もあるでしょう。
当初は困っている人の声を拾うという目的でもあったものが
いつの間にか何でもクレーム出来る、さらにクレームしても良いという拡大解釈になっている気がします。
「言いたい放題、やりたい放題」という感じです。

そして皆が疲れていることもあると思います。
不平不満など様々な心身のストレスが鬱積している状態です。
故に「何かあれば言ってやろう、やってやろう」となる。
特に精神面での寛容さがなくなっていると思います。

以上のような分析は医療におけるペイシェントハラスメントにも当てはまりますが、
この分野独特の事情としてあるのが”認知症”の存在です。
病気のために「その人がその人でなくなる」という問題です。

学生の頃、救急外来では
「女性患者を診たら妊娠を考えろ、男性患者なら梅毒だ」と教えられました。
私の友人は研修医の頃、当直病院の外来に来た腹痛の女性が目の前で破水して出産したそうです。
付き添ってきた母親の狼狽ぶりは凄かったようです。

梅毒は今ものすごい勢いで増加していますから、
今の研修医には当然の鑑別診断かと思います。

そして今は、この名言に加えて
「高齢者を診たら認知症を疑え」が入ってきます。
状況によっては受診した理由、症状さえも疑ってみる必要があります。
本当に痛いのか、本当にお腹の症状なのか、
友人の救急医は高齢者は乳児を扱うような鑑別診断が必要だと言います。

話が逸れましたが、
ハラスメント、東京都の取り組みに大賛成であり、
個人的には寛容さがなくなっていることが最も憂慮すべきことだと考えます。
少しでも相手のことを考える余裕があれば
少なからずの迷惑行為は防げるのではないでしょうか。

院長 小西宏明

2024-10-28 21:20:00

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猫よけ

先日猫の糞害の話を載せると妹達からメールが来ました。
やはり猫の糞、侵入に困っていたようです。
推薦された用具を早速を揃えました。

まず使用したのは猫よけのスプレーです。
推薦されたのは庭や通路などに巻く粒でしたが、
残念ながら販売されておらず、代わりにスプレーがありました。
なんでもワサビの成分が含まれており、
猫が嫌がるそうです。

前回糞をされた入り口や時々日向ぼっこされた駐車場を中心に
念入りに噴霧しました。
直後は確かに独特の臭いがして、
約1週間くらいもつようです。

猫が地域に住み着くことには数々の問題があります。
糞尿の害、鳴き声、車などへの傷、そして感染症です。

特に猫の糞からトキソプラズマ症を発症する場合があります。
犬については狂犬病が広く知られています。

動物愛護法の下では餌やりを一方的に禁止することはありませんが、
被害の状況によって地域住民から餌やり当事者への損害賠償請求が認められたケースもあります。

昭和の時代と違い、今はほとんど空き地はなく、
猫が糞尿する場所は誰かが所有する土地ということになります。

この”土地”や生活環境という点については昔よりも遙かに皆敏感になっています。
人間どおしであっても
境界、不法侵入、騒音、ゴミなどが問題になります。

そのような時代の変化の中で、
地域を動物を飼う場所とすることに賛成される方はなかなかおられないと思います。
ペットを飼育していて大変なのは糞尿の始末であることは明白で、
地域という場所をトイレ代わりに使用することへの理解は難しいと思います。

子供の頃、空き地で見つけた黒光りする塊を持ち帰ると
それは犬の糞が固まったものだと言われました。
確か手洗いはしていたと思いますが、
病気にならなくて幸いでした。

自治体によっては当事者に餌やりの場所や時間を地域住民に通知することを義務付けているところもあります。
そして餌やりが終わったら掃除をして帰ることも。
餌が残っていると次にはカラスの被害に繋がります。

動物愛護はある意味普遍的なことですが、
飼育することに関してはその時代の変化に沿った対応が求められると思います。

病院の多く、そして一部の診療科ではお見舞いの際の生花を禁じています。
医療機関において感染予防は必須ですから。
その点からは野良猫など人への感染症を媒介する虞のあるものは
排除しなければなりません。

実は人獣感染症は初期症状からでは診断が困難な場合が多いのです。
トキソプラズマ症は発熱、下痢など風邪や胃腸炎と区別が出来ません。
先日の猫の糞は下痢便状態でしたから、トキソプラズマ症の可能性もあります。
通常感染した猫はほとんど無症状です。

今回のスプレーの次の一手も妹から教えてもらいました。
感染予防は我々医療機関の役割ですから、
まずは敷地周辺から感染症を媒介する虞のあるものを排除します。

院長 小西宏明

2024-10-27 21:25:00

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