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運動の目的は若さを保つことだけではないーー衰えを知るという効能

今日はスポーツの日。ニュースでは全国各地で運動に関するイベントが開かれ、子どもや若者の運動能力向上とともに、高齢者の介護予防に向けた取り組みも紹介されていました。

医療従事者として日々高齢者に接していると、運動能力の衰えを実感します。原因は大きく二つ。病気や怪我によるものと、加齢そのものによる変化です。長年使ってきた関節の軟骨が摩耗したり、転倒などで怪我をしたりするだけでなく、筋力の低下や関節可動域の縮小も起こります。

日々の運動には、二つの大切な効能があります。一つは筋力や筋肉量を維持し、加齢による衰えを緩やかにすること。もう一つは、自分の身体が今どの程度動くのかを知ることです。

歳を重ねると、頭で思っている自分と実際の身体との間に乖離が生じやすくなります。いわゆる「まだ若いつもり」という落とし穴です。

視力の低下や皮膚のシミ、皺は嫌でも目に入ります。しかし、運動能力の衰えは意外に気付きにくいものです。そもそも動く機会が減り、車やエスカレーターなどの便利な手段に頼るようになるからです。

私自身、最近は2日ごとに夜間のこむら返りに悩まされています。理由の一つは、大学病院勤務時代に比べ、開業後は歩く距離が極端に短くなったことです。大学病院では外来、検査室、手術室、病棟、救急外来、講義室、医局、実験室と、あちこち移動する必要がありました。1日1万歩も自然なことでした。

もう一つは、30~40歳代の脚と60歳代の脚は、同じではないということです。

以前からブログで紹介しているように、私がジムに通うのは筋力を鍛えるためだけではありません。「どれほど衰えてきたか」を確かめるためでもあります。どんな時に手すりを使うのか、いつ杖が必要になるのか、どれくらい歩いたら休むべきなのか。そうした変化を早めに把握することが、転倒予防につながります。

ランニングマシンで手すりに軽く手を添えるだけで身体が安定することにも驚きました。自分では気付かないうちに、身体のバランスが変わっているのです。

介護予防の運動は、身体を鍛えるだけでなく、自分の現在地を知るための機会でもあります。

「まだ若いつもり」ではなく、「今の自分に何ができて、何が難しくなっているのか」を知る。その自覚こそ、安全に、長く自立して暮らすために必要なのだと思います。

院長 小西宏明

2026-10-12 21:17:00

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暖冬でも冬支度は早めにーーSNSとAIが買えた買い物事情

10月も3分の1が過ぎたというのに、車の温度計は25度を表示していました。日が陰ると肌寒さを感じることもありますが、10月はこんなに暖かかったでしょうか。

私は数年来、朝晩の家庭血圧を記録するのと同時に、手帳に朝の気温も書き留めています。2022年からの10月を見返すと、昨年でさえ朝の気温が10度未満の日がありました。今年はまだ一日もなく、最低でも12度です。先日の長期予報でも、北海道を含め、年末までは気温が高めになるとされています。

それでも、この時期になると真冬用のアウターを確認します。人気商品は9月末から予約が始まり、早々に売り切れることもあります。最近はSNSやYouTubeの影響が大きいのでしょう。著名な人が「これはいい」「定番はこれ」と紹介すれば、たちまち注文が殺到します。

同じ現象は飲食店や日用品にも見られます。高額商品も例外ではありません。今年5月にホンダが発表した電気自動車「Super One」も、受注が急増して停止されました。今やネットが商品の主要な宣伝媒体となり、YouTuberやインフルエンサーの影響力は絶大です。

私自身も、防寒着ならこの人、掃除用品ならあの人、デジタル機器なら別の人、と参考にする発信者を決めています。メーカーの宣伝だけでなく、同じ用途の製品を比較してくれる情報は、購入判断にとても役立ちます。

実店舗で実物を見て買う時代から、ネット通販の時代へ。そして今は、SNSやYouTubeで情報を集め、さらにAIに整理してもらい、意見を聞いてから購入する時代になりました。今年買ったものを振り返っても、AIの推薦が役立ったと感じることが多くあります。

話が買い物の話にそれましたが、要するに、今年は暖冬の気配があっても冬支度は早めに、ということです。

年齢を重ねると、寒暖差への対応力も衰えてきます。それを補うのが衣類です。すでにタンスの中は真冬用に衣替えしました。

**暖かい今こそ、寒さへの備えを済ませておく。**いつ急に冷え込んでも体調を崩さないよう、今年も早めに準備しておきたいと思います。

院長 小西宏明

2026-10-11 20:49:13

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AIと考えた高齢ドライバーの特徴

琉球大学の教授が、生成AIで検索した「存在しない判例」を書籍に引用し、刊行から約1か月で絶版・回収となったそうです。AIがもっともらしい誤情報を生成する「ハルシネーション」を、確認・精査できなかったことが原因とされています。

これは事実確認で誤りを発見できた事例です。一方、正解のない問題をAIに相談する場合、答えを鵜呑みにせず、あくまで一つの意見として受け止める姿勢が必要です。

それでも私は、AIのリスクを理解したうえで、活用を進めるべきだと考えています。

前置きが長くなりましたが、今回は気になっている高齢ドライバーの運転についてAIと一緒に考えてみました。

気になるのは、車を止めてからウインカーを出すこと、走行車線の左端に寄って走ることです。長い議論を経て、二人(?)の結論をまとめると、ウインカーの遅れは次の行動を早めに準備することの難しさ、左寄り走行は道路の端を目印にして自分の運転を安定させようとする傾向が関係しているのではないか、というものでした。

こうした運転をする人には、制限速度以下で交通の流れに乗れない、青信号になっても発進が遅い、車間距離を極端に広く取る、といった特徴が重なることもあります。

加齢によって、経験があっても自分の運転操作に注意を取られ、周囲の状況に目を配る余裕が減る場合があります。走る、止まる、曲がるという基本操作はできても、周囲の交通を読みながら複数の判断を同時に行うことが難しくなるのかもしれません。ただし、こうした特徴だけで年齢や運転能力を断定することはできません。

道路交通法では、交差点で右左折する際は曲がる地点の30メートル手前、進路変更では変更を始める約3秒前に合図を出すことが定められています。右折時には、あらかじめ道路の中央に寄ることも必要です。

車は便利な乗り物ですが、使い方を誤れば人の命を奪う危険もあります。自分の運転に精いっぱいのドライバーがいることを想定し、周囲の状況に気を配ることも大切です。

同じ車でも、運転する人が変われば、周囲にとってはまったく別の乗り物になります。 安全な交通は、自分だけでなく、互いの運転を想像することから始まるのだと思います。

院長 小西宏明

2026-10-10 20:16:00

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開店初日に学ぶチームワークーー新生フローリアへの期待

先日、長野のイタリアンレストラン「フローリア」が、3年ぶりに同じ場所で再オープンしました。もちろん、私は一度も行ったことがありませんし、オーナーシェフの小林さんの料理を食べたこともありません。それでも、以前からYouTube動画を拝見し、料理への取り組み方や仕事に対する考え方に共感することが多く、密かに応援しています。

最新の動画では、再開初日のドタバタ劇が紹介されていました。今回は地元に大々的に告知せず、あえて余裕を持った客数でスタートしたそうです。新たな料理長を迎え、将来は小林さん自身が週末などにアシストとして厨房に立つとのことです。

どんな仕事でも、入念に準備していても初日には想定外が起こります。ゆで麺器の故障、レジの不具合、カードリーダーの使用不可など、さまざまなトラブルが発生したようです。それでも動画には、いつも通り落ち着いた小林さんの姿がありました。

印象的だったのは二つ。一つは、新しい料理長の沈着冷静な対応と、瞬時に修正する適応力です。以前の動画でも、寡黙ながら迅速かつ丁寧に仕事を進める姿が印象に残っていました。もう一つはチームワークです。ホールを担当する奥様の「325さん」も、トラブルの中で冷静に対応されていました。

ここから学べるのは、自分の仕事だけでなく、全体を俯瞰して動くことの大切さです。目の前の作業に追われると、自分のことで手いっぱいになりがちです。しかし、お店は一人で動かしているわけではありません。厨房とホール、それぞれの動きを見ながら互いに補い合うことが、スムーズな運営につながります。

そのためには、自分が担当する作業を、慣れるまで待つのではなく、日頃から繰り返し練習しておくことも重要です。個人の仕事を磨いておけば、本番ではチーム全体の動きに集中できます。

小林さんと325さんにとっては3回目の店舗オープン。経験に裏打ちされたノウハウと余裕があったのでしょう。それでも、新しいメンバーで始める仕事は、これまでとは違うものです。

経験は力になりますが、チームが変われば、また新しいノウハウが生まれます。

新生フローリアがこれからどんなお店になっていくのか、引き続き注目していきたいと思います。

院長 小西宏明

2026-10-09 21:59:00

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AIに顔があればいいーー電子カルテ20年の進歩から考えたこと

今日は木曜日、青森の病院で診療をしています。

この病院では電子カルテが導入されており、カルテはもちろん、検査、処方、診察予約など、あらゆることを端末で操作します。その一方で、開院当初から外来医師一人に一人ずつ医師事務作業補助者が付いています。

メリットは二つあります。一つは、医師が患者さんの診療に集中できること。電子カルテを早くから導入した大学病院などでは、いまだに「医師が端末ばかり見て患者と顔を合わせない」という不満があります。

もう一つは、電子カルテの操作に不慣れな医師でも診療に専念できることです。

ところで最近、サイバー攻撃や情報漏洩のニュースが相次いでいます。犯罪にもAIが使われるようになったと言われますが、裏を返せば、それだけAIが我々の身近で不可欠な存在になっているということでもあります。

医療でもAIは急速に実用化しています。単純な事務作業は、いずれAIに置き換わるでしょう。検査予約、診察予約、紹介状作成、他科へのコンサルトなど、現在は医師事務作業補助者に口頭で依頼している仕事も、将来は音声入力でAIに指示するようになるのではないでしょうか。

実は当院でも6月から音声入力用のマイクを増設しました。紹介状を試してみると、驚くほど誤変換が少ない。しかもアプリはWindowsに標準搭載されています。

2002年、前職の大学病院に初めて電子カルテを導入した際にも音声入力を検討しました。当時はIBMの「AmiVoice」が最先端でしたが、忙しい外来で使えるレベルではありませんでした。

それが今では、マイクをつなぐだけで瞬時に文章になる。20年余りの進歩には驚かされます。

ただ、音声入力には一つ問題があります。「独り言」です。

放射線科では当時からCTなどの読影レポートを音声入力していました。何人もの放射線科医が画面に向かい、マイクに向かって一人で話している光景は、初めて見ると何とも奇妙でした。

そこで私は、AIを使う時には画面の片隅でもいいので、人の顔を表示してほしいと思います。

相手が仮想の人物でも、顔があれば話しかける方が自然です。周囲から見ても、単なる「独り言」には見えません。オンライン会議と同じです。

考えてみれば、AIをより使いやすくしようとすると、最後には「相手の顔を見て話す」という、ごく当たり前の人間のコミュニケーションに行き着きました。

20年後の技術が、結局20年前から知っていた「人は顔を見て話すもの」という原点に戻ってくる。何とも面白いことだと思います。

院長 小西宏明

2026-10-08 21:26:00

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「硤合」が読めないーーノーベル化学賞から学んだこと

夕方、ノーベル化学賞に東京理科大学の硤合憲三先生が受賞されたというニュースが入りました。

そもそも「硤合」という名字が読めません。ワープロで変換しても出てきません。さらに受賞理由となった「不斉自己触媒反応(Soai反応)」も、聞いただけでは何のことやらさっぱり分かりません。

経歴を見て驚いたのは、私と同じ広島県出身だったことです。広島大学附属高校から東京大学理学部へ進学されたそうです。広島には私の頃、附属、広島学院、修道という3つの有名進学校がありました。同郷からノーベル賞受賞者が出たことは、やはり嬉しいものです。東京理科大学

7時のニュースでは研究内容の説明を聞いてもよく分からず、21時のニュースでは図表まで加わりましたが、それでも理解できません。

そこでAIに「わかりやすく説明してほしい」と聞いてみました。

すると、「不斉」とは右手と左手のように鏡に映した関係にある分子のこと。「自己触媒」とは、反応で生まれたもの自身が触媒となって、さらに自分と同じタイプの分子を作ること。そして、ほんのわずかな右・左の偏りが、自己増殖によって大きく増幅される――。

つまり、最初はほとんど分からないほど小さな偏りが、やがて片方だけに大きく傾いていくのです。この現象は、生命を構成するアミノ酸や糖がなぜ一方の鏡像に偏っているのかという「ホモキラリティー」、さらに生命の起源にもつながる大きな謎と関係しています。Nature

これには感心しました。AIは質問する人の知識レベルに合わせ、必要なところから説明してくれます。万人向けの説明を最初から延々と聞くより、私にははるかに理解しやすいのです。

日本人の予想外のノーベル賞といえば、2002年の田中耕一先生を思い出します。今回もまた、マスコミでは「誰だ、どこの誰だ」というところから始まりました。

ノーベル化学賞の研究は、医学や物理学以上に私には縁遠く感じます。しかし、今回の研究も長年にわたる地道な積み重ねの先にあります。

一攫千金や大ばくちとは対極にある、自分の興味を追い続け、初志を貫いて粛々と研究する姿です。

同じ日本人として、そんな「DNA」が自分にもあると信じたい。

硤合先生の受賞を喜びながら、私もまた、日々の仕事を一つずつ怠らず続けていこうと思いました。

院長 小西宏明

2026-10-07 22:01:19

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健診は宝くじーー当たった後の解釈が大切

毎年、医師会の健診検査センターで健診を受けています。今年からは、協会けんぽの被保険者である当院スタッフも受診できるようになりました。

以前このブログでも紹介しましたが、センターは湯の川から移転してリニューアルされ、2階の健診部門がとても充実しています。簡単に言えば、ぐるっと一周すると順番に検査を受けられるレイアウトで、受診者の動線が実にシンプルです。

検査の充実度や精度が大前提なのはもちろんですが、私はこの「動線」がとても気に入っています。健診というと、「面倒くさい」「迷路のようで不安」というイメージがあります。それが流れるように進んでいく。スタッフの誘導も手慣れており、実に心地よいのです。

ただし、健診は受ければそれで終わりではありません。私は**「健診は宝くじのようなもの」**だと思っています。宝くじは買わなければ当たりませんが、買ったからといって必ず当たるわけでもありません。

健診も同じです。重要なのは、検査結果をどう解釈するかです。

身体測定、血圧、血液検査、胸部レントゲンなどは、検査そのものよりも、その結果を誰がどう判断するかが重要です。一方、超音波検査や内視鏡検査は、検者の技量によって結果が大きく左右されます。

最近では、胸部レントゲン、マンモグラフィー、CT、内視鏡などにAIによる診断支援が導入され始めています。医師の能力には当然個人差がありますし、それを客観的に評価することも容易ではありません。だからこそ、AIを「ダブルチェック」として利用する価値があると思います。

実際、健診結果をAIに入力すれば、さまざまなアドバイスが得られます。しかし、ここには注意が必要です。

「異常値=その人にとっての異常」とは限りません。

病歴、治療歴、家族歴など、その人固有の情報まで加わって初めて、「あなたにとっての異常」という判断に近づきます。

AIが進歩しても、健診結果をどう読むかという最後の部分は、まだ人間の仕事でしょう。

健診は宝くじと同じです。受けなければ病気は見つかりません。

そして、もし病気が早期に見つかったなら――

その価値は、まさに「PRICELESS」です。

院長 小西宏明

2026-10-06 21:03:00

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ワクチン接種から始まる医療DXーー診察券もなくなる時代へ

今週から本格的にインフルエンザワクチンの接種が始まりました。毎年のことですが、問診票の記入に時間がかかる方もおられます。特に現在の病気や服薬内容を十分に把握されていない場合もあり、記入漏れや間違いも少なくありません。

しかし、ワクチン接種で最も時間がかかるのは、実は問診ではありません。受付です。

若い世代は自己負担で比較的単純ですが、高齢者では行政の補助や所得による減免など、複数のパターンがあります。ワクチンの種類によっては接種券の準備が必要な場合もあり、受付スタッフによる確認と説明が欠かせません。

この「受付」が、今後大きく変わろうとしています。

厚生労働省は予防接種事務のデジタル化を進めており、すでに2026年6月から新しい仕組みが始まっています。マイナンバーカードを利用すれば、スマートフォンからデジタル予診票を入力し、過去の接種記録を確認できるほか、医療機関側でも接種記録を確認できるようになります。厚生労働省

これは単に紙をなくすだけではありません。生まれてからの予防接種歴を自分で確認し、次にいつ、何を接種するのかを把握できる。つまり、自分の医療情報を自分で管理する時代になるということです。

さらに医療DXでは、マイナンバーカードを診察券として利用する仕組みもすでに一部の医療機関で始まっています。将来的には、保険証だけでなく診察券や公費負担の受給者証まで一体化し、カード一枚で受診できる方向です。デジタル庁

そもそもデータベースは、データを貯めるためだけにあるのではありません。必要な時に検索して使うためにあります。

貯金箱も同じです。お金を貯めることが目的ではなく、必要な時に取り出して使うために貯める。医療情報も同じでしょう。

もちろん、情報漏洩というリスクはあります。しかし、利便性と安全性は常に表裏一体です。

これからの医療では、情報を「持っている」ことよりも、安全に蓄積し、必要な時に正確に使えることが重要になります。

ワクチン接種の受付という小さな変化から、医療そのものが大きく変わろうとしていることを実感します。

院長 小西宏明

2026-10-05 21:09:00

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「平年並み」がいちばん難しいーー季節の変化と年末へのカウントダウン

朝夕がめっきり寒くなり、朝一番で待合室の暖房を入れるようになりました。土曜日には、今シーズン初めて灯油タンクの補充にも来ていました。

私は毎朝、その日の最低気温になる頃に起きるのですが、先日は15度を下回りました。それでも北海道では秋の長雨というほどの天候にはならず、今日も昼間は秋らしい青空です。

函館の月別平均気温は8月をピークに下がり、1月が最も低くなります。つまり、これからの3か月は一気に冬へ向かう時期です。今日は一部だけ衣替えをしました。

一方、千葉の集中豪雨などのニュースを見ると、1年間「平年並み」の天候が続くことが、実はとても大切なのだと感じます。思い返せば昨冬の札幌は毎週のように大雪に見舞われました。今年はすでにインフルエンザが流行のピークを迎えそうで、長雨による屋内での密集も影響しているのかもしれません。

もはや、何が「平年並み」なのか分からなくなってきました。

秋になると毎年懐かしく思い出すのが、留学時代です。10月はハロウィーン、11月は感謝祭、そして12月はクリスマス。毎月のように大きな行事がありました。

日本では正月など「年の始まり」を盛大に祝います。一方、アメリカではクリスマスを一年の締めくくりとして楽しみます。大学も、日本では入学が一つの大きな節目ですが、アメリカでは卒業を重視し、入ることより出ることの方が難しいとも言われます。

入り口で盛り上がる日本人と、出口で祝うアメリカ人。

そんな違いを思い出しながら10月を迎えると、今年も残り3か月です。10月は一年の第四四半期。診療では感染症が増えて忙しくなり、医師会や行政の会議、懇親会も一気に増えてきます。

気がつけば慌ただしく過ごし、いつの間にか年末年始――これも私にとっては一種の「平年並み」です。

今年も大きな変化なく過ごせることを願いながら、体調を整え、やるべきことを一つずつ、粛々と進めていきたいと思います。

院長 小西宏明

2026-10-04 20:20:00

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開業という夢に、横なぐりの雨

来週、道南地区で内科の診療所がオープンします。久しぶりの内科系の開業だと思います。ところが、ある先生から聞いたところでは、開業に際してかなり多額の資金が必要だったそうです。

都内に住む友人からも、「中堅の先生方の開業意欲はかなり削がれている」と聞きました。理由はいくつかあります。

一つは建築費です。資材費や人件費の高騰で、建築費は10年前に比べ大幅に上昇しています。もう一つは診療報酬です。2026年度改定は6月から施行され、賃上げ・物価対応としてベースアップ評価料が見直される一方、医療機関の収支は診療所と病院で影響が異なります。

さらに人件費と物価の上昇です。今年度の最低賃金は全国加重平均で56円引き上げられ、過去2番目の大きな引き上げとなりました。 医療材料費も上昇しています。

開業には多額の借入が必要で、その返済計画が経営の土台になります。私自身、クリニック経営を経験してみて、借入金の返済がいかに大きな負担になるかを実感しました。当院が開業した頃は金利も低い時代でしたが、これから開業する先生方には、金利負担もボディーブローのように効いてくるでしょう。

また、循環器内科、心臓血管外科、消化器外科、小児外科など、負担が大きく人材確保が課題となっている診療領域への評価が設けられています。一方で、こうした診療科を志望する若い医師が減っている現状を考えると、単に報酬を上げれば解決する問題でもありません。

40歳代といえば、体力も知力も充実し、「一国一城の主」を目指したい時期です。ところが今、その夢の前には建築費、人件費、物価、金利、そして診療報酬という高い壁があります。

銀行にとっては「金利のある世界」は晴れた日なのかもしれません。傘をさそうとしてくれます。しかし医療の街には、横なぐりの雨が降っています。頭は傘で守れても、足元はすぐにずぶ濡れです。

医療を医師個人の倫理観や奉仕の精神だけに頼る時代は、もう終わりにすべきでしょう。若い医師が希望を持って地域医療を担えるよう、診療報酬の裏付けとともに、保険外診療の自由度についても議論する時期に来ていると思います。

院長 小西宏明

2026-10-03 21:00:00

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