コロナ禍で飲食店は大きなダメージを受けました。
そして今やっと回復基調がしっかりしたものとなっています。
ここ西部地区を見ただけでも飲食店の開業閉店は目まぐるしく、
5年、否1年でさえも継続することが如何に難しいかが
他業種の視点からでもわかります。
YouTubeには飲食店経営について自験例を紹介したり、
それを専門とするコンサルタントの解説が沢山アップされています。
特にコロナ禍で大きなダメージを受けた大手チェーン店は
閉店による規模縮小を急いでいる中で、
個人経営の小規模店が注目されています。
料理をライフワークとした人達にとって
自分のお店を構えることは目標のひとつにあるはずです。
今は人生百年時代、早期退職や定年後に出店を模索する場合もあるでしょう。
こういった動画を観ると、
店の広さ、席数が非常に重要なポイントだとわかります。
つまりお店を開店する前にすでに勝負が付いているとも言えます。
そして本業の料理の味よりもそれ以外のことについて述べられることが多いのは
廃業に至る原因が潜んでいるからだと思います。
料理について強いて言えば、
1.とがった部分をアピールする。
これが我が店の味という一品料理、特徴的な料理を作ることです。
2.メニューをしっかり練る。
どんな種類の料理を提供するのか、
コース料理なら構成をどうするのかです。
少なくともこれだけ多くのことを予め考えて開業する人がいる以上、
ただ何とかなるではその時点は投了です。
今、私は医師会健診検査センターの運営委員長をやっています。
健診が大きな柱であり、受診者をどうやって増やしていくかが課題です。
他業種同様にコロナ禍で受診者が減少して収入減となりました。
今年度もあと僅かですが、
コロナ禍前5年平均と比べても回復が確かなものにはなりました。
飲食店で重要な要因であるリピート率も6,7割を超えています。
ただこれで来年度も何とかなるではありません。
飲食店が広さと席数で収入が規定されるのと同様に
健診はそれを行う時間に依存します。
特に早朝、夕方、土日は注目ポイントです。
一方料理に相当するのは健診内容ということになります。
検体検査やレントゲンなどの患者検査は”味”を変えることは出来ません。
とある飲食店コンサルの方が重要視しているのは”コミュニケーション”です。
来店時から何回お客様とコンタクトしているか。
「いらっしゃいませ」の挨拶から始まって、注文、配膳、
食事途中の水やお茶の補充、下膳時の感想聴取、そしてお会計。
いくらでもコミュニケーションのチャンスがあり、
それによってお客様はお店や従業員への親近感が湧き、
リピートにつながります。
健診は飲食と違い、1年に1回です。
ただ飲食同様に”口コミ”が大切です。
気持ちよく健診が受けられたという”食後感”を提供するためには
どうすれば良いか。
検査着に着替え終わった人には
「寒くないですか、サイズは大丈夫ですか。」
心電図に案内すれば、
「手足と胸に器械を付けていきますね。」
採血が終われば、
「痛くなかったですか、絆創膏はもらいましたか。」
他の健診センターとの差別化で注目すべきは
検査から検査への移動中の心遣いでしょうか。
検査と検査を線で結ぶ動線上こそ、
受診者とのコミュニケーションのための貴重な時間と捉える必要があります。
飲食店と健診センターという業種は違えども
そこに集うのは人です。
学ぶことが沢山あります。
院長 小西宏明
2023-03-16 20:04:00
クリニックブログ
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