2035年を最終期限として少子化対策が待ったなしとなりました。
人口減少の逼迫度がどれだけ国民に伝わり、
政府の”次元の違う”子育て支援の実行性が問題です。
実は人口減少を問題視できる世代と
子供を産み育てられる世代にはギャップがあり、
国家としての”人”の重要性の捉え方が違います。
「国のために子供を産む」という発想は
我々が若い頃であってもほとんどありませんでした。
逆に人がいないと日常生活に支障が出てくるということは
徐々に地方を中心に実感されてきています。
巷では人口減少の弊害を解説する書籍も増えています。
こういったグローバルな問題はどうしても他人事になりやすく、
より身近なことに当てはめていくと逼迫感が伝わりやすくなります。
実は函館市は日本全国でも人口減少が顕著な中小都市です。
現在、そして将来への函館市の取り組みは
今後の日本の地方都市のお手本にも成り得るくらい
事態は深刻です。
すでにご存知の方もおられると思いますが、
函館市では昨年末に第2期函館市活性化総合戦略(令和3年度改訂版)と
函館市人口ビジョン(令和元年度改訂版)を出しています。
市の人口がほぼ直線状に右下がり減少で、
2035年あたりで20万人を割り込む予測です。
今から40年後には最低予測人口は11万人余りとなります。
現在の小樽市、北見市、江別市くらいです。
函館市の課題のひとつは若い世代の人口流出です。
折角函館で生まれても市外、道外へ転出していきます。
やはり生活や子育てを考えると
仕事の有無が最重要問題ではないでしょうか。
市内には高齢者が残っていく構図です。
そして高齢者に不可欠なのが医療と介護です。
介護分野での人手不足は函館に限ったことではありません。
これから認知症の割合や絶対数が増えることは不可避であり、
今以上にマンパワーが必要です。
医療においてはすでに中規模病院では閉院や規模の縮小、
形態の改変が模索されています。
患者数が減少し、急性期疾患が減れば、
自ずと必要とされる病院の診療形態は変わらなければなりません。
例え人口減少が多少鈍化しても
高齢化率、要介護率は今まで以上に上昇します。
また現在の保険点数制度が維持され、
医療介護費用の急激な増加を踏まえれば、
実質的な診療点数が削減される方向性は自明です。
となれば特に個人の医療機関では
収益が維持出来る、事業が継続出来る方向に診療内容をシフトしたり、
規模縮小を考えざるを得ません。
そして閉院や統合が選択枝に挙がります。
喫緊の子育て支援は不可欠ですが、
人口減少鈍化という中期的効果を見据えたものであり、
少なくとも函館においては2035年までは
予測通りに人口減少は進みます。
我々の領域において、ここ10年の方針は非常に重要です。
そしてコロナ禍で中断を余儀なくさせられましたが、
医療介護への外国人の登用は推進されるべきだと思います。
日本は移民や難民に大変厳しい国です。
国民性や種々の事情を勘案したものだと考えますが、
世界では国を追われる人、自ら祖国を出る人がおり、
一方でグローバル社会になっています。
函館は建物を見てもわかるように和洋折衷の歴史ある街です。
外国の文化を上手く取り入れてきました。
日本は島国であり、その中でも北海道は”島”です。
外のものを活かしていく素地があると思います。
可能性の芽を摘むことがあってはならないと考えます。
院長 小西宏明
2023-03-18 20:51:00
クリニックブログ
| コメント(0)