以前から「当院で一度診て欲しい」というご依頼を頂くことがあります。
もちろん初めての症状であれば通常の初診になりますから、
予約日を決めて診察します。
ところが少なからずあるのは、すでに同じ症状で他院に通院中の場合です。
これにはいろいろなパターンがあります。
1.治療開始したばかりだけれども良くならない。
2.長く通院しているが改善しない。
3.その他
これらは広義の「セカンドオピニオン」と言えます。
1は投薬が始まったばかりのケースもあり、
すぐには効果は表れないことがある旨を説明しています。
2は大変困ります。
我々医師は他の医師の診断や治療に横やりを入れることはしません。
何故なら長く患者さんを診ておられる先生は
いろいろなことを考えて治療を組み立てられているからです。
今は多くの病態について標準治療が示されていますが、
全てその通りに行うことは出来ませんし、
仮に標準治療であっても身体の反応は様々であり、
期待した通りに改善しないことはあります。
そういったことを含めて担当医は
ある意味での”試行錯誤”を繰り返していきます。
その患者さんに合った治療をすると言えます。
このような担当医の思考過程に途中から踏み込み訳には行かないのです。
何よりもその過程を知る術がないため、
勝手なことは出来ません。
実は少なからずご相談されるのは
敢えて3としましたが、無治療の場合です。
病気なのに治療していないのではありません。
患者さんの訴えについて有意な病態ではないと考えている場合です。
端的に言えば、「その症状は病気ではない。投薬など必要無い。」
と少し乱暴にまとめることも出来ます。
我々医師は患者さんの訴えが尽く病気であるとか、
治療を必要とするとは考えません。
以前にもお話ししたように「それは病気ではない」と診断することは大変難しいのですが、
実際は特に高齢者では治療しなくても良い体調不良が多くなります。
患者さん自身も調子が良い日と悪い日があることからも、
身体の不調がすべて病気だとは思っておられないはずですが、
医師の判断を仰ぎたいのだと考えています。
しかも出来れば繰り返し説明を聞きたいのだと思います。
それが故に担当医以外の先生の診察を受けたいとなるのだと思います。
日々診察室のバックヤードでは
スタッフが電話応対で四苦八苦しています。
長い場合は10分以上、症状や受診ご希望の事情をお伺いしています。
中には直接ご来院されることもあります。
日本の医療はフリーアクセスで、
いつでもどの医療機関にも自由に受診出来ます。
同じ症状で同じ日に2つの病院に行くことも可能です。
しかしながら医師は
お互いが何をどのように考えて診察するのかを知っています。
基本的に相手の考えを尊重します。
画一的な最良の方法は患者さん側にも
医療機関側にも無いと思います。
出来るだけ事情をお伺いして個別対応しています。
院長 小西宏明
2023-05-17 19:02:09
クリニックブログ
| コメント(0)