クリニックでは主に生活習慣病で定期通院される方を診ることになります。
一方当院では下肢の病気、特に血管病変を専門的に診ていることから
一旦治癒して再び数年ぶりに受診されることも少なくありません。
例えば静脈瘤の再発やむくみの悪化です。
中には蜂窩織炎という感染症を繰り返される人も来られます。
数年ぶりにお目にかかる高齢者の多くは総じて元気です。
容姿の変化は仕方ありませんが、
お話していると「あれ?」と思うことがあります。
それが認知機能障害です。
物忘れや同じことを何度も言うくらいは誰にでもあります。
しかし病気の患者さんを沢山診察していると
ある一線を越えているかどうか察知しやすくなります。
私より先にスタッフが異常に気付きます。
多分、医師の問診よりもリラックス出来て
”素”の状態になるのかもしれません。
一旦異常に気付くと、それ以降の言動の微細な変化が良くわかるようになります。
お帰りになる頃には、やはり認知機能の異常が疑われると確信させられます。
認知症の特徴は動作にも現れます。
動作が緩慢になったり、歩幅が狭く前屈みの歩行になります。
病気の発見の大前提は”異常”だと思えるかどうかです。
どんな症状でも異常だ、病気だと考え始めることから
鑑別診断は始まります。
ただし認知症の初期、認知機能障害の段階は
本当にすべてを疑って接しないと微細な兆候には気付くことが出来ません。
特に我々が外来で接する時間は非常に短いわけですから。
しかし何かを取っ掛かりにすれば、
芋ずる式に”変化”が見えて来て、
場合によっては家族に普段の状況を問い合わせることも出来ます。
家族も気が付いていない場合もありますし、
歳のせいで片付けているかもしれません。
高齢者における1年は若い人の2年分の変化が生じると考えています。
体力や身体機能はもちろんのこと、認知機能も同様です。
数年ぶりに下肢の病気で再診されると
思わぬ変化に気付かされます。
木を見て森を見ずではダメです。
院長 小西宏明
2023-09-09 19:57:00
クリニックブログ
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