今日、突然にお電話がありました。
夕方確認すると大学病院の時に10年以上外来で拝見していた患者さんのご家族でした。
大学病院には18年間勤務したため、
手術した患者さんはもちろんですが、前の先生から引き継いだ方も含めると
膨大な患者数になります。
すでに多くは高齢によりお亡くなりになっています。
今回もご母堂様が逝去されたとのことで、
当時の御礼の連絡でした。
函館に来て10年目ですが、
今でも時々ご家族からご連絡を頂きます。
インターネットのお陰で私の消息を辿ることが出来るからだと思います。
中には再手術の手配をして、無事にまたお元気になられた方もおられます。
絵を描くことが趣味のご婦人で、もう90歳くらいです。
しかし多くは亡くなられたというご連絡です。
心臓血管外科は専門性が高く、
また大半は循環器内科からの紹介であるため、
術後は1年に1回の外来チェックのみです。
それでも数はどんどん増えますので、
概ね5年を目処に終診にしていました。
しかしながら栃木県も広いため、お住まいの近くに循環器専門医がいない場合などは
ずっと大学病院に外来通院を続けられた方もおられます。
今でも数名は気になっている患者さんがいます。
17歳で感染性心筋炎による僧帽弁閉鎖不全症で人工弁置換術を行った女性。
腰痛で発症して整形外科で診られていました。
熱が下がらないことから精査して診断されましたが、
その時すでに感染性脳動脈瘤と脾動脈瘤を合併していました。
心臓手術の前に両者を手術しましたが、
右の脳動脈瘤手術の直前に術前検査時にはなかった左の脳動脈瘤が破裂したのです。
救命して最終的に我々心臓血管外科での手術が出来ました。
言語障害と右の片麻痺の後遺症がありますが、
さすがに若さと頑張りの成果で杖歩行で日常生活が送れるまでになりました。
私が退職するまで10年以上拝見して、もう40歳代のはずです。
今はもう大きな手術をすることはなくなりましたが、
こうした機会に当時を思い出すと、
専門医の重要性が、紹介する側として実感されます。
つまりどういう気持ちで専門医に紹介して下さったかということです。
専門医とはそれに応える存在でなければなりません。
と同時に実地医家としてはどれだけ自分が信頼出来る専門医を知っているか、
これも重要です。
先日は婦人科疾患について大学のクラブの後輩にアドバイスを受けることが出来ました。
さすがに函館から京都に紹介は出来ませんが、
先輩の無理難題にも快く答えてくれました。
体育会系の先輩後輩は同じ釜の飯を食っただけのことはあります。
あの辛い夏合宿を乗り切ったのですから。
患者さんのご冥福をお祈り申し上げます。
院長 小西宏明
2023-09-15 20:30:00
クリニックブログ
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