虎の門病院レジデント同期会からうれしいニュースが届きました。
現在信州大学救急集中治療学の教授をしている先生が
防災功労者内閣総理大臣表彰を受賞しました。
今、救命救急士が院外で行う医療行為に対して医師が直接指示や助言する
「オンラインメディカルコントロール(MC)」と呼ぶそうですが、
その際に画像と音声の双方向コミュニケーションを可能とするシステムの開発が
受賞対象となったようです。
実は私も大学病院では医療情報部の責任者であったことから、
救急部と一緒にドクターカーの医師からの画像と音声情報をリアルタイムに病院へ届けるプロジェクトをやっていました。
救急部への県の補助金とITメーカーからの器材提供の提案が切っ掛けでした。
何度か実証実験を行ったのですが、
ひとつは通信インフラが今と比べて十分でなかったため、
画像転送に問題がありました。
また医師の頭部に小さなカメラを付けるのですが、
今のような高性能な手ぶれ補正機能のカメラがありませんでした。
当時同様の研究は全国で行われており、
医療分野へのICTの応用として注目されました。
率直な印象は余程高性能なITシステムがなければ
一刻を争うドタバタした現場からの情報を届けるのは難しいということでした。
そして、今は違います。
YouTubeを見ると明らかですが、スポーツや娯楽など
動きの激しい状況でも鮮明な画像をプロでなくとも撮影することが可能ですし、
ネットワークも5Gです。
彼の研究もきっとこの技術向上の恩恵を受けて
素晴らしいものが出来ているのではないかと想像します。
受賞に至ったのは継続して研究していたからであり、
技術が現場のニーズに追いついてくれたとも言えます。
彼も同い年ですから、定年退官まで残り数年のはずです。
講座の若い先生達が
研究することの意義や継続の大切さを引き継いでいくことを期待します。
救急集中治療は診療科の中でも毎日毎時間がドタバタですが、
臨床に忙殺されることなく、
医学としてのリサーチマインドを養って頂きたいと思います。
院長 小西宏明
2023-11-12 20:51:00
クリニックブログ
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