今日は1年に1回開催されている訪問看護の委員会に初出席しました。
どのような会でどのような構成メンバーかは全く知らずに参加となりました。
その報告から見えてくるものは
訪問看護の現場の厳しさや山積する課題とともに
今後のニーズにどう対応するかでした。
特にここ数年で訪問看護を担う施設や病院内の部署の増加が顕著です。
高齢者の増加に伴って一定割合は自宅での加療を希望されますし、
入院や施設入所という”点”を結ぶ役割があり、
ニーズは右肩上がりと考えられます。
しかし問題となるのは経営基盤です。
今回の診療報酬改定は内科系の診療所が事実上狙い撃ちされた形ですが、
次期改定は訪問看護がターゲットと言われています。
診療報酬改定は厚労省主体から財務省主導になっているからです。
私は初メンバーとしての挨拶の中で、
「淘汰の時代の到来」を挙げさせていただきました。
2040年までは高齢者人口は増加が続き、
潜在的な訪問看護のニーズは増えるように見えますが、
実際には診療報酬に大胆なメスが入れられると
所謂”客単価”が圧縮されます。
すると客数で稼ぐしかありませんから、
より多くの訪問を行う必要があります。
一方、会の中で現状説明があり、
離職の原因のひとつが緊急コールや緊急訪問の多さとのことでした。
特に認知機能の低下がある患者さんの場合、
ほぼ毎日や1日に複数回のコールも稀ではありません。
また内容も体調に関することだけではなく、
シロアリ駆除、訪問販売、金銭トラブル、人生についてなど多岐に亘ります。
施設の経営には利益は必須で、
公定単価が下がれば数で補うことになり、
数が増えれば上記のような時間外コールも増え、
スタッフの負担になります。
労働には対価とともに休息が不可欠です。
結果として”生き残れる”施設は
多くの看護師を要するところか、
病院付属の場合に限られるだろうと推測します。
そしてまた訪問看護を担う人材不足も深刻です。
小さなステーションが次々立ち上がるよりも
寄せ集まって大きな集団を形成すべきです。
おそらく厚労省(バックは財務省ですが)は小さな事業所を整理する方策をとるはずです。
大勢の患者を大勢の看護師で看る方が実務面での効率は高まり、
労働者個々人への負担を分散出来ます。
それに向けての唯一無二、有効性高い方策は
診療報酬改定による政策誘導です。
客単価を下げ、逆に例えば大きな事業所への加算の新設です。
病院淘汰と全く同じ手法です。
医療介護を公定価格として管理している日本ならではのやり方です。
実は今会の対象となっていた訪問看護ステーションは
少なくとも市内では非常にレベルが高い看護を提供しています。
残念ながらそれに対してプラス加算はありませんが、
こういった施設こそが生き残らなければいけません。
医師会病院付属の訪問看護ステーションは毎月毎年右肩上がりの収益です。
ニーズを上手に捉まえていることによります。
増えるニーズ、多様化するニーズに対応するには
サービス提供側も組織を大きくして多人数で対応するのが常套手段です。
特に昨今の働き方改革は
個人のマンパワーに頼ることが出来ないように政策誘導されていますから。
改めて2040年に向けたロードマップの確立と、
足元の経営の評価と見直しが必要だと感じました。
院長 小西宏明
2024-09-26 21:13:00
クリニックブログ
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