今月東京都でカスタマーハラスメント防止条例が成立し、
来年4月から施行されることが決まりました。
中小事業者からはひとつの規範となり得るものとして
好意的に受け止められています。
昨今このような○○ハラスメントが増えており、
世の中の意識としても行き過ぎた迷惑行為が注目され、
それを改善、禁止する方向に向かっています。
セクハラ、パワハラはその最たるものです。
では何故人々はハラスメントを行うのでしょうか。
これに関しても多くの専門家が分析されています。
例えば権利意識の高まりです。この背景には「お客様は神様です」に代表されるように
事業者側が顧客へのサービス向上に努めた結果として
際限の無いサービスを求められる結果に繋がったとも考えられます。
またそれと似た意識ですが、期待する結果や求める結果が高いレベルになりすぎることもあります。
つまり事業者と顧客の到達目標に大きな乖離があるのです。
次には顧客側が声を上げやすい環境が出てきたことです。
カスタマーセンター、公的には消費者庁、さらにSNSの普及もあるでしょう。
当初は困っている人の声を拾うという目的でもあったものが
いつの間にか何でもクレーム出来る、さらにクレームしても良いという拡大解釈になっている気がします。
「言いたい放題、やりたい放題」という感じです。
そして皆が疲れていることもあると思います。
不平不満など様々な心身のストレスが鬱積している状態です。
故に「何かあれば言ってやろう、やってやろう」となる。
特に精神面での寛容さがなくなっていると思います。
以上のような分析は医療におけるペイシェントハラスメントにも当てはまりますが、
この分野独特の事情としてあるのが”認知症”の存在です。
病気のために「その人がその人でなくなる」という問題です。
学生の頃、救急外来では
「女性患者を診たら妊娠を考えろ、男性患者なら梅毒だ」と教えられました。
私の友人は研修医の頃、当直病院の外来に来た腹痛の女性が目の前で破水して出産したそうです。
付き添ってきた母親の狼狽ぶりは凄かったようです。
梅毒は今ものすごい勢いで増加していますから、
今の研修医には当然の鑑別診断かと思います。
そして今は、この名言に加えて
「高齢者を診たら認知症を疑え」が入ってきます。
状況によっては受診した理由、症状さえも疑ってみる必要があります。
本当に痛いのか、本当にお腹の症状なのか、
友人の救急医は高齢者は乳児を扱うような鑑別診断が必要だと言います。
話が逸れましたが、
ハラスメント、東京都の取り組みに大賛成であり、
個人的には寛容さがなくなっていることが最も憂慮すべきことだと考えます。
少しでも相手のことを考える余裕があれば
少なからずの迷惑行為は防げるのではないでしょうか。
院長 小西宏明
2024-10-28 21:20:00
クリニックブログ
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