夕方に患者さんが診療の御礼に来られました。
診療中であったためご本人が来院されたことは後でスタッフから聞きました。
年明けに初診された患者さんでしたが、
実はいきなりお電話ですでに当院へ向かっているということでした。
当院はコロナ禍を契機に完全予約制にしており、
急なご来院や当日の診察希望については
病状次第で後日の予約を手配か、
ご自宅近くの別の医療機関をお奨めしております。
「敷居が高い」とか「いきなり行けば診てもらえる」とか
様々なご意見があるようです。
完全予約制に拘る理由はこれまでにも述べさせて頂いております。
医師1人のクリニックでは何かを調整しない限り全ての要望に応えるのは難しいのです。
今回の患者さんはお電話での症状からは出来るだけ早く診た方が良いと判断しました。
すでに別のクリニックを受診され、異常なしと言われたことも診断を急ぐ理由でした。
通常ですと近くのクリニックに御案内するのですが、
何とか空き時間が作れそうであったのでそのまま向かってもらいました。
最も心配した病気は否定することが出来ましたが、
診察してみると全く別の病気の疑いが出てきました。
もう夕方でしたが検査センターに至急検査を依頼し、
夜8時過ぎに結果を頂き、直ぐに患者さんに連絡しました。
翌日には総合病院の専門医を受診する手配が速やかに進み、
どんどん検査が進められて診断が出来たようです。
症状の原因が明らかとなり、これから治療で、
その御礼に来られたとのことでした。
本日も閉院前にやはりお電話で初診希望がありました。
これも内容からすると早々に診断を必要とするものでした。
当院ではそのための検査設備がないことから、
二次当番病院へ電話して受診の了解をとり、
患者さんには自宅から直接救急センターへ向かって頂きました。
夜に担当の先生からメールを頂き、
幸いにも重症疾患ではないことが確定されました。
病気には初期から末期があり、
また軽症から重症があります。
どのタイミングで診断が確定出来るかが
その患者さんの予後やQOLを確定します。
初期であったり、軽症であれば、さらにはそもそも病気でなければ
いわゆる”空振り”であっても
それはそれで陰性診断としての意味があります。
日本では医療制度の恩恵もあって
病気の初期や軽症での受診が多く、
診断学の観点からは非常に難渋することがあります。
しかし一方で今回の症例のように速やかに必要な検査が受けられる医療体制があります。
今の時期は圧倒的多数のインフルエンザ患者さんに現場は大混乱ですが、
重大な疾患もまた起きています。
大きな波に揺さぶられて
病気の予兆である小さな波を見逃さないのは大変です。
しばらくは緊張の日々が続きます。
院長 小西宏明
2025-01-15 21:17:10
クリニックブログ
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