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夜間急病センターと二次病院

夜間急病センターと二次病院

今日は毎年恒例の夜間急病センターと二次病院の懇談会でした。

1年を振り返って最も大きな出来事は小児科が市立函館病院へ移ったことです。
そしてその最も大きな理由は担当出来るクリニック医師数の減少です。
小児科医は夜間の当番のみならず、休日当番も担っており、
医師については普段の診療時間以外の診療が負担となっていました。

しかし本会でのスピーチを聞くと、
同様の現象が次は外科についても起こっています。
おそらく5年後に今のスタイルで夜間や休日当番をこなすことは不可能です。
医師がいません。

医師も高齢になれば、日中の診療を頑張ることが出来ても
夜間や休日はゆっくり休みたくなります。
これは他の職業でも同じだと思います。

今でさえ規定の65歳を超えて夜間や休日診療を担当しておられる先生は多数です。
最高齢は85歳です。
明日にでも規定通りに当番を引退されれば、たちまち大混乱に陥ります。

実際、小樽市医師会では免除年齢を70歳に変更して
何とか夜間休日当番を維持しておられますが、
それもそろそろ限界だそうです。
いずれは札幌市と当番を分担し合うことも想定されているそうです。

担当医が減れば、残りの医師の負担は急増するのみならず、
特に休日当番では医師以外のスタッフも頻回な休日出勤を余儀なくされます。

整形外科クリニックの先生も、
休日当番で最も問題なのはスタッフの休暇だと言われました。
子育て世代では日曜日や休日は重要で、
それが理由で採用を辞退されることもあるそうです。

市内では眼科、耳鼻科、産婦人科、小児科と医師の減少が止まりません。
そして数年以内に外科も夜間休日体制は成り立たなくなります。

では内科はどうかと言えば、
実は夜間当番を行っているのは28名しかいません。
偶々急病センターの常勤の先生が内科医で、平日の多くを担当しておられるが故に
この人数でも365日カバー出来ています。
薄氷を踏む思いとはこのことです。

このような状況に対して2+1つの方策が考えられます。
ひとつは、当番時間の見直しです。
道内のある地域では夜間当番は夜10時までです。
これは患者受診時間の集計からも10時を過ぎると来院者は減少します。
また医師も10時までなら、翌日の診療への影響は今よりは少ないと思います。

もうひとつは、市民への啓蒙活動です。
全国どこでも同じですが、不急の受診が多いことです。
これは救急車要請にも言えることだと思います。
夜間や休日の当番医がいるのは、
そういう時間帯に発病する患者がいるためです。
病気はいつどこで起きるかわかりませんから。

あくまで”急病”に対応する医師です。
このことを今一度市民に周知徹底する必要があり、
出来れば不適切事例を具体的に公表して
協力を仰ぐべきです。

人口23万、道南一の大都市である函館市でさえ、
すでに医師不足であり、いかに高齢医師が頑張っているかを
知って頂く必要があります。

道南のとある地区では、唯一の診療所が来年閉院されるそうです。
高齢になられた先生がとうとう限界だと言われました。

かく言う私も来年から高齢者です。

持続可能な医療体制に向けて
まず医療資源を有効活用しなければなりません。
それには医療従事者側と患者側の両者が歩み寄ることが不可欠です。

最後の+1は何でしょうか。
それは診療報酬の見直し、一部自由診療の導入です。

話は急に飛びますが、熊本県菊陽町で何が起こっているか。
医療機関や薬局の撤退、閉院です。
半導体工場の誘致で地価が高騰し、
賃貸料が急騰して経営が難しくなったのです。

医業は国が一律に報酬額を決めており、
需給バランスが価格に反映されず、
また消費税は医療機関負担のままです。

その中で家賃が高騰すれば、当然経営が難しくなります。
赤字に転落する前に閉院するのは理解出来ます。

飲食店をみてもこの物価高騰、人件費高騰の中で価格改定しています。
埼玉県本庄市では老朽化した水道管の修繕費用高騰のため
水道料金が40%上がるそうです。
ところが医療については昨年6月から実質マイナス改定で
内科系クリニックは年間1000万前後の減収に陥っています。

今後も物価上昇基調には変わりなく、
また政府の施策として給与の上昇に誘導されています。
医療機関は減収にさせられて職員の人件費を上げろという
相矛盾する要求を突きつけられています。

医療保険制度も老朽化しています。

今回の懇親会では”持続可能”がキーワードだと思いました。
非常に重い言葉です。

院長 小西宏明

2025-03-07 21:53:00

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