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ノーベル生理学医学賞

ノーベル生理学医学賞

昨年に続いて日本からノーベル賞受賞となりました。
制御性T細胞の発見が主な受賞理由です。

私が学生の頃はこの細胞についてはsuppressor T cellという名称で
講義を受けていましたが、当時はそういった役割のT細胞があるだろうという話だけで
正確に存在確認されていたわけではありません。
ただ印象に残っているのはhepler T cellとsuppressor T cellという相対する概念です。

要するに「フィードバック制御」と言うものになります。
例えば暖房エアコンを25度に設定すると寒い部屋を温め始めて25度になると止まります。
室温が下がると再び動き出して25度になるように温め始めます。
これを繰り返すことによって部屋の温度を保つわけです。

こういった制御は工業製品のみならず、
我々の身体の中でも行われて恒常状態を保つようになっています。
故に免疫応答においても同様の仕組みが備わっているだろうと考えるのは至極当たり前ではありますが、
物理学分野で言えば、ニュートリノを探すようなものでしょうか。

坂口志文先生は1976年京都大学医学部卒業で、
7年前に生理学医学賞を受賞した本庶佑先生も1966年の卒業でした。

私は学生の時に本庶佑先生の講義は受けましたが、
坂口先生とは11年違いのためお目にかかったことはありません。
ただ私が入学した1981年には生化学には早石修教授がおられ、
その後に沼正作先生が教室を引き継がれて
我々学生は4回生の時に先生の試験を受けた年代です。

実は両先生とも当時は日本初の生理学医学賞を受賞するのではと言われていましたが、
私が卒業した1987年に理学部卒業の利根川進先生が受賞されました。

京都大学からノーベル賞受賞者が多く出ることについては様々分析されていますが、
以前にもお話しましたように優秀な学生が入学したということも然る事ながら
学生時代に世界最先端の研究に取り組む先生達を身近に感じられることが影響していると思います。

沼正作先生の教室にいた先輩は元旦の朝だけお休みで
365日毎日実験をしておられました。
学生講義も義務としてやっているのではなく、我々に真剣に向き合ったおられました。
実は研究の発想は20歳代の柔軟な頭から生まれることがほとんどで、
学生は皆、研究者の卵、引いてはライバルにさえなり得る存在だからです。

我々もただテストに出るから勉強するという姿勢ではありませんでした。
人体の生理や病理の探求の一端を垣間見る思いでした。
結果、私の学年も約1割弱は研究者の道に進んでいます。

坂口先生も沢山のマスコミ取材を受けられ、
研究者としての経歴について問われたり、
若い人達へのアドバイスを求められたりするでしょうが、
私がいつも感じるのは
「好きこそものの上手なれ」です。

自分が好きなこと、やりたいことをやっていると
もしかするとそれを評価してくれる人が現れるかもしれない。
例え誰も見向きもしてくれなくても
好きなことをやって人生を全う出来るなら良いのではないかと。

これから坂口先生がどんなことを語られるか、お話を聞いてみようと思います。

院長 小西宏明

 

2025-10-06 21:16:00

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