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予防治療

予防治療

自分の病気は何で、どのように治療されているかを十分把握していない人は少なからずおられます。

痛い、苦しいなど明らかに生活に支障がでる症状であれば、
原因や治療方法を理解して治そうとされますが、
生活習慣病のように初期で無症状であれば、
逆に治療中断も稀ではなくなります。

また最近は医学の進歩も急速で、
ひとつの病気が原因となり将来引き起こされるであろう次の病気を予防する治療も増えてきました。

例えば心房細動という不整脈では
直接的な動悸や脈の結滞のみならず、心臓内の血栓による脳梗塞を予防するための投薬が行われます。
脈を整える薬+抗凝固療法薬です。

また心不全や腎不全の予防薬も沢山あります。
一度でも苦しくなって治療した経験があれば、二度と起こしたくないと考えて予防に積極的に取り組めます。
しかし全くそのような事態に陥ったことがない、または日常生活では気付けないくらい軽度である場合、
なかなか”予防薬”を追加で服用したいとは思わないかもしれません。

2013年には女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが「予防的乳房切除術」を受けて大きな話題となりました。
彼女は遺伝子の異常から将来乳がんになる確率が87%、卵巣がんが50%でした。
2020年には日本でも条件を満たした場合には健康保険の適応で手術が可能になっています。

昨日ノーベル賞受賞でまた日本が注目されましたが、
医学は昔に比べて加速度的に進歩しています。
さらに昨今はAIの導入で今まで以上のスピードが想定されます。

あくまで未来予測ではありますが、
産まれた時点で遺伝子解析を行うことで、将来発病するであろう癌や特殊な病気が明らかになると思います。
それによってある年齢から特別な健診を定期的に行うとか、予防的治療を行うことによって
QOLを上げていく方法が確立していくでしょう。

先の心房細動に対する脳梗塞予防治療は
もうある程度一般化されましたが、
それ以外にも予防治療は沢山始まっており、
その多くは薬です。

ただ残念ながら患者さんの理解は追いついていないことが多く、
特に昨今の物価上昇の中での医療費負担は生活にも影響します。
実際には重大な病気を予防出来た方が最終的な支出は個人でも国であっても抑制出来るのですが。

医学が進歩すればするほど、
それが現場の治療に反映出来るようになったとしても
肝心の患者の協力が得られなければ
それはまさに「宝の持ち腐れ」とも言えます。

我々医療従事者は丁寧な説明をしなければなりませんし、
患者さんも自分の病気と治療の理解を進めて頂かなければなりません。
相互に協力が必要です。

私が学生時代に御世話になった先生は
「科学の目的は複雑な自然現象をわかりやすく説明すること」と言われました。
これからも”説明”には工夫をしていきたいと考えています。

院長 小西宏明
 

2025-10-07 21:03:00

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