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原因究明

原因究明

診療の基本は症状の正確な把握と原因の究明にあります。

もちろん症状が全て病気であるとは限りませんが、
少なくとも我々医師の思考は悪性疾患、重大な病気から否定していく臨床推論を組み立てていきます。
推理小説の犯人捜しに似ています。

そして患者さんにとっては症状の原因が悪性であれ良性であれ、
まず”わかる”ことがスタート地点に立てることになります。

こう考えると初診患者さんの多くはスタート地点に立つために
わざわざ専門医の受診を希望されると言えます。

当院は一般的な内科診療を行いつつ、
一方で他では余り扱わない病気の診断や治療を行っています。

それが血管やリンパの疾患であり、また下肢の病気の診断です。
下肢の病気には様々な専門診療科に関わるものがありますから、
症状の原因が絞られた時点で紹介するという”振り分け外来”の役割を担っています。

病気の症状は必ずしも1つの原因で起きているとは限りませんが、
診療は原則診療科ごとの縦割りになっています。
では横のつながりはどうかと言えば、総合病院であってもなかなかスムーズとは言い難いこともあります。
その大きな理由はお互いに「うちじゃない」で終わってしまうからです。

以前当院に来られた患者さんは珍しい病態であったため、
総合病院のとある診療科に合同で検討しませんかと提案したことがあります。
残念ながら手紙の返事すら頂けませんでした。
せめてお断りの連絡だけでも欲しかったなと思いました。

今の時代、患者中心の医療、地域連携、病診連携と言われますが、
それは治療に関する急性期、回復期、慢性期を軸としたもので、
アカデミックな医学的見地での診療科を越えた連携は進んでいるとは言えません。
皆、日々の診療に忙しいということだろうと思います。
これはこの地域に大学病院がない影響もあると考えています。

本日ノーベル化学賞の発表があり、京都大学の北川進先生が受賞されました。
直後のインタビューで「チャレンジは化学者(科学者?字幕の誤り?)にとっての醍醐味」というお言葉ありました。
科学の基本は探求だと考えています。

そして我々医師が対峙しているの人体です。
新しいものを作り出すのが化学だとすれば、既存のものを解き明かすのが医学です。

目の前の患者さんに起きていることを科学者として見ていくこと、
すなわち原因を探求することです。

今週は偶々かもしれませんが、頭を悩ませる難問の数々を解かされている気がします。

院長 小西宏明

 

2025-10-08 20:05:28

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