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医師免許は永久就職ではない

医師免許は永久就職ではない

大手企業では、早いところでは40歳代、少なくとも50歳代以降を対象とした早期退職募集が増えています。

企業側の事情としては、昨今の経済情勢の不安定化など外部要因が大きいのでしょう。どのような業種であっても、人件費は経営上の大きな負担であり、将来リスクにもなり得ます。その見直しが真っ先に検討されるのは、ある意味当然のことかもしれません。

一方、労働者側を大きく分けると、「ゼネラリスト」と「スペシャリスト」に分類出来ると思います。

ゼネラリストとは複数の部署や業務を経験し、多様な仕事に対応出来る人材です。これに対してスペシャリストは、特定分野において高度な知識や技能を有する人材を指します。

大企業からの転職先の多くは中小企業です。その際、必ず問われるのは「あなたは何が出来るのですか」「当社にどのような貢献をしてくれるのですか」という点です。

大企業ほどの体力がない中小企業にとって、新たな人材を採用することは大きな投資です。その人に明確な価値を感じなければ採用には至りません。

ではスペシャリストであれば再就職は容易なのでしょうか。

もちろんケースバイケースですが、一般的には有利であることが多いと思います。専門知識や技術は、そのまま組織への貢献につながりやすいからです。

我々医師は典型的なスペシャリストです。

しかし、医師は元来ひとつの病院に長く勤務することが少ない職業でもあります。研修医を終えた後、自ら転職先を探して各地を渡り歩く医師もいますが、多くは大学医局に所属し、いわゆる医局人事によって関連病院を数年ごとに異動します。

若い頃は2~3年ごとに異動を繰り返し、30歳代後半からは比較的長いスパンで勤務することが多くなります。ただ、その頃になると結婚や子どもの進学など家庭の事情もあり、医局人事から離れるケースも少なくありません。

医師のキャリア形成には実に多くのバリエーションがあるのです。

ただ少なくとも、一般企業のように病院側が「早期退職募集」を行うことはまずありません。何処へ行っても医師不足だからです。

優秀な医師、患者さんから信頼される医師、病院運営に協力的な医師は特に重宝されます。

一方で、敬遠される医師もいます。

最も問題となるのは、スタッフや患者さんとのコミュニケーション能力が乏しい場合です。

近年はパワハラやセクハラなど、ハラスメントへの目が厳しくなり、チーム医療の重要性も広く認識されるようになりました。その結果、以前に比べればかなり改善されたと思います。

しかし今でも、医療における指揮命令系統の頂点にいることから、自分を万能の存在であるかのように勘違いしている医師がいるのも事実です。

本来、「和を以て貴しとなす」という姿勢は医療においても重要なはずです。

実は医師も組織の一員である以上、「何が出来るのか」「どのような貢献が出来るのか」を常に問われています。

さらに医療は人の命に関わる仕事です。所属する病院への貢献だけでなく、地域医療、さらには日本の医療全体への責任も負っていると考えるべきでしょう。

医師免許は永久就職を保証する資格ではありません。

むしろ、生涯にわたって学び続け、働き続け、社会に貢献し続けることを求められる資格なのだと思います。

引退の日まで走り続ける覚悟を求められるのが、医師という職業なのかもしれません。

院長 小西宏明

2026-05-30 21:26:39

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