当院では「足の病気」を診ています。
ただ、「足」は身体の部位を示しているだけであって、足に起こる病気がすべて同じ種類というわけではありません。
今日の初診患者さんは、最終的に当院では治療できないとお伝えしたことに、なかなかご納得いただけないご様子でした。
私の専門は血管疾患です。
その血管の病気が足に起きているのであれば、もちろん当院で診断し治療することができます。しかし原因が血管以外にあると判断すれば、その病気を専門とする診療科をご紹介します。
例えば、足の皮膚がかゆい場合でも、それが血流障害によるものであれば当院で治療します。一方、湿疹や皮膚炎など皮膚そのものの病気であれば皮膚科をご紹介します。
また、足のしびれであれば、神経障害が原因と考えられれば整形外科や脳神経内科へご紹介します。
つまり、私が「足の専門」として行っているのは、まず症状の原因を見極めることです。
その結果、血管の病気であれば当院で責任を持って治療しますし、そうでなければ最も適切な専門医へ橋渡しをすることも大切な役割です。
心臓の病気なら循環器内科、胃の病気なら消化器内科と、多くの方は理解しやすいと思います。
しかし、「足」や「むくみ」は特定の病気や診療科を指す言葉ではありません。
そのため、「足のことなら何でも治してもらえる」「むくみなら必ず元通りになる」と期待されることがあります。
しかし現実には、一つの症状の背景にはさまざまな病気が隠れています。まず原因を調べ、その原因に応じた治療を選択することが医療の基本です。
改めて、病気や症状の原因を説明することの難しさを痛感しました。
以前にも、当院を受診された後、わざわざスタッフに「期待していた結果ではなかった」と伝えに来られた患者さんがおられました。
その方の主訴は足のむくみでしたが、原因は主として加齢による変化でした。
医療者の立場から見れば、完全に若い頃の状態へ戻すことはできない病態です。
私は患者さんによく、
「ベストを目指すのではなく、ベターな状態を維持していきましょう。」
とお話しします。
しかし患者さんのお気持ちは、「元通りになりたい」、つまりベストを望まれています。
頭では「年齢とともに変化するもの」と理解できても、それをご自身のこととして受け入れるには時間が必要です。
医療は病気を治すことだけではありません。
病気と上手に付き合いながら、その人にとってより良い状態を維持していくことも、私たち医療者の大切な役割だと思っています。
院長 小西宏明
2026-06-29 22:31:17
クリニックブログ
| コメント(0)