ハンバーガー業界が活況を呈しているそうです。
高級ハンバーガーが定着したことも追い風となっていますが、その市場を牽引しているのは、やはりマクドナルドでしょう。
その一方で、2000年代初頭に経営危機に直面したモスバーガーの復調が注目されています。
その戦略の中心にあるのが、「価格のグラデーション」という考え方です。
定番のモスバーガーは470円、国産牛を使った「とびきりチーズバーガー」は690円、さらに黒毛和牛バーガーは890円と、価格帯を滑らかにつなげています。
お客様は、その日の予算や気分に合わせて無理なく商品を選ぶことができます。
節約したい日もあれば、少し贅沢をしたい日もある。その両方の需要を取り込む戦略です。
王者マクドナルドと競いながらも、3位のバーガーキングの追い上げを許さない理由の一つなのでしょう。
この考え方は、トヨタの車づくりにも共通しています。
コンパクトカーから高級車まで、価格も性能も段階的につながり、幅広い顧客のニーズを取り込んでいます。
いわば「シームレスな商品展開」です。
一方、医療ではこのような戦略をそのまま取り入れることはできません。
理由は二つあります。
一つは、保険診療の価格が全国一律の公定価格であること。
もう一つは、一人の医師がすべての分野で最先端の医療を提供することは現実的ではないことです。
これは医師の能力の問題ではありません。
医学の専門分野は細分化され、それぞれが日進月歩で進歩しています。昨日までの常識が、数年後には見直されることも珍しくありません。
だからこそ専門医制度があり、それぞれが特定分野を深く学んでいるのです。
一方で、近年は自由診療の広がりも感じます。
保険診療は、症状や病気がある人に対する医療です。
それに対して、人間ドックのように「異常がないことを確認したい」という検査は自由診療になります。
自由診療であれば、検査内容を複数のコースとして設定することもできますし、担当医の専門性や技術を反映したサービスを提供することも可能です。
美容医療では、医師の経験や実績によって料金が異なることは、ごく普通に受け入れられています。
一般医療でも、診療報酬が十分に技術を評価できない状態が続けば、自由診療の分野は今後さらに広がっていくでしょう。
その中では、
「専門医による診療」
「指導医による診療」
「高度専門施設での診療」
といった違いが、一つの価値として評価される時代になるかもしれません。
日本の医療は「全国どこでも同じ医療が受けられる」とよく言われます。
しかし、正確には「同じ価格で受けられる」という意味です。
医療機関の設備や理念、症例数、そして担当医の経験や専門性まで完全に同じであるはずがありません。
価格は均一でも、提供される医療の質や内容には違いがあります。
今後、美容医療のような自由診療が広がるのか、それとも保険診療の中で専門性や技術がより適切に評価される仕組みが整うのか。
いずれにしても、「価格」と「価値」の関係は、医療においても避けて通れない課題になっていくように思います。
院長 小西宏明
2026-07-06 22:39:16
クリニックブログ
| コメント(0)