「ドクターショッピング」という言葉があります。
一般的には、自分の身体の不調や病気について医師の説明に納得できず、次々と医療機関を受診することを指します。特に、同じ病気について複数の病院やクリニックの同じ専門科を繰り返し受診するケースです。
一方で、もう一つのドクターショッピングもあります。
家族や友人、知人から「あの先生が良い」「こちらの病院が評判だ」と勧められ、その都度医療機関を受診していく場合です。
どちらも複数の医療機関を受診するという点では同じですが、その背景は少し異なります。
そもそも病気の診断は、必ずしも100%確定できるとは限りません。
医師によって診断の見解が分かれることもありますし、治療法についても選択肢が複数存在することがあります。
さらに、同じ治療を行っても回復までの時間や経過には個人差があります。
こうした医学の不確実性が、ドクターショッピングにつながる一つの要因になっています。
また、多くの患者さんは「病院はクリニックより上」「大学病院が一番良い」と考えがちです。
しかし、現実はそれほど単純ではありません。
大きな病院では、研修を終えたばかりの若い医師が担当することもあります。一方で、クリニックには元大学教授や元診療科長など、長年専門医を育成してきた経験豊富な医師も少なくありません。
医療機関の規模と、担当医の知識や経験が必ずしも一致するわけではないのです。
さらに、クリニックではホームページなどで担当医の経歴や専門分野を確認したうえで受診できますが、大きな病院では実際に受診するまで担当医が誰になるのか分からないことも珍しくありません。
では、患者さんはどのように医師を選べば良いのでしょうか。
私が現実的だと思う方法は、信頼できる人から紹介してもらうことです。
もちろん、病気によってはセカンドオピニオンを受けることが適切な場合もあります。しかし、不安から次々と医療機関を渡り歩くよりも、まずは信頼できる医師と十分に話し合うことが大切です。
インターネットの口コミは参考にはなりますが、投稿者の背景が分からず、極端な評価や誹謗中傷、いわゆる「やらせ」が含まれていることもあります。
それよりも、実際に診療を受けた親族や友人など、自分が信頼できる人からの情報の方が、はるかに価値があると感じています。
「餅は餅屋」という言葉があります。
餅の良し悪しが分かるのは餅屋です。美味しい餅を売っている店を知るには、実際に食べた人から教えてもらうのが一番早いでしょう。
医療も少し似ています。
そして最後に、最も大切なことがあります。
それは一度信頼すると決めた医師とは、十分に対話し、信頼関係を築くことです。
医師を次々と変えてしまうと、診療の経過が分断されるだけでなく、医師の側も患者さんとの信頼関係を築きにくくなります。
患者と医師は、究極的には人と人との関係です。
医学の知識や経験には大きな差がありますが、それはどの専門職にも共通することです。
だからこそ、お互いが信頼し合い、同じ方向を向いて治療を進めていくことが、何よりも大切なのだと思います。
院長 小西宏明
2026-07-07 22:02:00
クリニックブログ
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