東野圭吾さんが亡くなられたという報に接しました。68歳という年齢は、今の時代ではまだ若いと感じます。大腸がんだったと公表されており、多忙な日々の中で検診を受ける機会が少なかったのだとすれば、本当に残念でなりません。
大腸がんは食生活の欧米化に伴って明らかに増加しており、以前にも増して検診の重要性が高まっています。検診というと大腸内視鏡検査を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実際の入り口となるのは便潜血検査です。当院でも、この検査をきっかけに大腸がんが早期に見つかった患者さんがおられます。
現在では、早期であれば内視鏡で切除できる場合もありますし、腹腔鏡手術によって根治が期待できるケースも少なくありません。大腸がんは、早期発見すれば十分に治療が可能ながんです。
私が東野圭吾さんの作品を読み始めたのは、大学病院に勤務し始めた1992年頃でした。
作品の魅力として「最後の大どんでん返し」を挙げる方が多いと思いますが、私にとって何より印象的だったのは、その読みやすい文章でした。
何がどう読みやすいのかを理屈で説明することはできません。しかし、不思議なくらい自然にページが進み、気がつけば一冊読み終えている。そんな感覚でした。
当時は文庫本を次々に読み、新刊が出れば単行本を買うほど夢中になりました。映画化された作品も、時間が合えば映画館へ足を運びましたが、次第に仕事が忙しくなり、テレビ放送やDVDで見ることの方が多くなりました。
そしてさらに忙しくなると、仕事以外で活字を読む時間そのものが減っていきました。ちょうどインターネットが急速に普及し始めた頃でもあります。
仕事が忙しくなると、人は何かしら気分転換を必要とします。
私の場合、それは読書ではなく車の運転へと変わっていきました。
休日の早朝、まだ家族が起きる前の午前5時過ぎに家を出て、東北自動車道を一区間だけ走って戻ってくる。
決してスピードを出したいわけではありません。ただエンジン音を聞きながら走る、その2時間ほどが私にとっての趣味でした。
雨の日は走りませんから、ひと月に一度あるかないか。それでも十分に気分転換になりました。
還暦を過ぎると、「これから先、何を趣味にしていこうか」と考えることがあります。
車の運転も、高齢者の運転事故を目にするたびに、いつまでも続けられるものではないと思うようになりました。もし運転するとしても、これまでと同じように早朝でしょう。
では読書か、音楽鑑賞か、映画か、グルメか。
改めて考えてみると、一番長く続いているのはジム通いでした。
留学中の30歳頃に始め、途中数年間の中断はありましたが、気がつけば30年近く毎週通っています。
走って、筋力トレーニングをして、息を切らし、汗を流し、最後にシャワーを浴びる。
そこから何かが生み出されるわけではありません。誰かに評価されるものでもありません。
まさに自己満足です。
しかし、それこそが趣味なのだと思います。
身体を動かすことは年齢を重ねても続けられますし、誰にも迷惑をかけません。費用も、それほど大きくはありません。
そう考えると、90歳を目標にジムへ通い続けるのも悪くない気がしてきました。
東野圭吾さんは、多くの人に読書の楽しさを教えてくださいました。
私自身も、これから先の人生で、自分なりの「長く続けられる楽しみ」を大切にしていきたいと思います。
院長 小西宏明
2026-07-27 21:32:17
クリニックブログ
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