本日、保健所から今シーズンのインフルエンザワクチンと新型コロナワクチンの委託事業について連絡がありました。
「今年もいよいよワクチンシーズンが始まるな。」
そんなことを思いながら、昨年の慌ただしい秋を思い出しました。
当院では以前、インフルエンザワクチンは完全予約制とし、11月1日から12月中旬までを接種期間としていました。
しかし昨年からは、ワクチンが入荷し次第、10月中に接種を開始するよう変更しました。
背景には流行時期の変化があります。
2024年シーズンは年末年始に患者数のピークがありましたが、2025年は10月頃から急速に患者数が増え始め、11月末にはピークを迎えました。
流行が約1か月早まったことを受け、接種開始も前倒しすることにしたのです。
さらに昨年からは、定期受診日に合わせてワクチンを接種するよう運用を見直しました。
ワクチン接種だけのために改めて来院していただく負担を減らしたいと考えたからです。
実はインフルエンザワクチンは、一般的には1本のバイアルから2人分を採取する製剤が多く使われています。
そのため、できるだけ偶数人数で接種を行い、ワクチンを無駄なく使用する工夫も必要になります。
1人用製剤もありますが、コスト面ではやや不利になります。
患者さんから見ると、ワクチン接種は注射を受けるだけと思われるかもしれません。
しかし実際には、問診票の記入、体温測定、医師による問診、接種後の副反応観察など、多くの手順があります。
さらに受付では、公費助成の対象となるかどうかを確認しなければなりません。
年齢だけではなく、非課税世帯などによって補助内容が異なる場合もあり、自治体ごとの制度も複雑です。
患者さんへの説明に時間を要することも少なくありません。
ワクチン接種は医療機関にとって大切な業務の一つですが、受付から会計までの流れだけを見れば、通常の診察よりも手続きが複雑で、スタッフの負担も決して小さくありません。
最近ではインフルエンザだけでなく、肺炎球菌ワクチン、帯状疱疹ワクチン、新型コロナワクチンなど、高齢者が接種を検討するワクチンは3〜4種類に増えています。
もちろん、どのワクチンも同じような予防効果というわけではありません。
その中でも、私自身が特に接種をお勧めしたいのは帯状疱疹ワクチンです。
発症予防だけでなく、つらい帯状疱疹後神経痛の予防効果も期待できるため、高齢者にとって大きなメリットがあります。
今回の保健所からの調査では、市民向けに医療機関名を公表してよいかという確認項目がありました。
今年からは、公表を希望した医療機関は、原則として希望するすべての市民に接種を行うことが求められるようです。
当院では、これまでどおり「かかりつけ患者さん」を対象として接種を行う方針としました。
ワクチンは安全性の高い医療ですが、副反応が全くないわけではありません。
普段から診療している患者さんであれば、基礎疾患や服薬状況、過去の副反応歴なども把握できています。
その意味でも、かかりつけ医による接種には大きな安心感があると考えています。
インフルエンザが流行すると、休日当番医や夜間急病センターには発熱患者さんが集中します。
今年は、いつ頃ピークを迎えるのでしょうか。
高熱でつらそうに受診される患者さんを見るたびに、一刻も早く診断し、必要な治療につなげたいと思います。
一方で、インフルエンザの受診行動や抗インフルエンザ薬の使用頻度は、日本が海外と比べて高いことも知られています。
その背景には、医療制度や国民皆保険、受診しやすい環境など、日本ならではの事情があります。
もちろん、肺炎や重い感染症を見逃してはいけません。
しかし実際には、「普通の風邪」が圧倒的に多いのも事実です。
長時間待合室で過ごすより、自宅で十分に休養と水分補給を行った方が、結果として早く回復することも少なくありません。
もしインフルエンザにかかったなら、「どのように熱が上がったのか」「どんな症状が続いたのか」「何日で回復したのか」を自分自身で観察してみてください。
その経験は、次に体調を崩した時に必ず役立ちます。
こうした経験を積み重ね、自分の身体を知ることも、セルフメディケーションの大切な一歩ではないかと思います。
院長 小西宏明
2026-07-29 22:13:46
クリニックブログ
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