木曜日からのブログの流れになりますが、本日は4市医師会懇親会の様子をお伝えしたいと思います。
あいにくの空模様でしたが、会が始まる午後6時には傘がなくても歩ける程度まで回復しました。
20分ほど前に会場へ到着すると、すでにほとんどの先生方がお揃いでした。函館港まつりの花火大会と重なったため、西部地区の混雑を避け、本町周辺のホテルに宿泊された先生方も多かったようです。
今回も大変有意義な情報交換ができました。
私にとって最も印象的だったテーマは、「医師不足」というよりも、むしろ**「開業医不足」**でした。
これは札幌、小樽、旭川、函館の4市に共通する課題だったのです。
理由はいくつもあります。
まず、近年の建築費や人件費の高騰です。
現在、新たにクリニックを建てようとすると、以前とは比較にならないほど多額の資金が必要になります。
銀行が融資をためらうわけではありません。しかし、その返済原資となる診療報酬は改定のたびに厳しくなり、将来の返済計画が立てにくくなっています。
つまり、「借りられない」のではなく、「返せる見込みが立ちにくい」ということです。
一方で、開業する理由の一つであった「自分の理想とする医療を実践したい」という思いも、現在では勤務医としてある程度実現できると考える若い先生が増えているようです。
さらに、開業すれば診療だけでは済みません。
これまで経験したことのない事業経営が始まります。
スタッフの生活を守り、経営を維持し、日々収支を考えなければならない責任があります。
勤務医時代以上に経営という現実に向き合うことになります。
それだけではありません。
開業医は休日当番や夜間診療、学校医など、自院以外の地域医療も担っています。
病院勤務でも当直はありますが、一定の年齢や役職になれば免除や回数調整が行われることが少なくありません。
しかし開業医では、基本的に皆で公平に担当します。
さらに医師会役員になれば、診療以外の仕事も加わります。
小樽市の先生からは、行政との協議や陳情のため、何度も北海道庁へ足を運んでいるというお話も伺いました。
総じて、若い先生方にとって開業は魅力よりも負担の方が大きく映っているように感じました。
数千万円から時には億単位の借入を抱えることへの精神的なプレッシャーも決して小さくありません。
もう一つ大きな問題があります。
すでに開業されている先生方の中には、ご子息やご令嬢が医学部へ進学せず、事業承継が難しいケースが少なくありません。
もちろん子どもの将来を親が決めるものではありませんし、医師以外の道を選ぶことは自然なことです。
しかし一方で、医学部受験は年々厳しくなっています。
全国の学力上位層が医学部を目指し、競争は以前にも増して激化しています。
旭川の先生は、「祖父の代から続いたクリニックも、自分の代で終わりです」と静かに話してくださいました。
とても印象に残る言葉でした。
このような懇親会では、各地域の課題や悩みを率直に語り合うことが多くなります。
医師会長や副会長という立場だからこそ、それぞれの地域で抱えている問題や苦労がよく分かります。
厚生労働省や財務省の制度、大学や公的病院との連携など、話題は尽きません。
決して明るい話ばかりではありませんが、同じ立場だからこそ理解し合えることがあります。
悩みを共有し、知恵を出し合い、「自分たちだけではない」と確認できることも、このような会の大切な役割なのだと思いました。
予定時間を少し超えるほど話が盛り上がり、帰路につく頃には、花火大会を終えた車で道路は大渋滞していました。
花火を見終えた人たちは、美しい夏の思い出を胸に帰宅されたことでしょう。
一方、私たちは地域医療の未来について語り合い、同じ課題を共有することで気持ちを軽くして帰路につきました。
立場は違っても、語り合える仲間がいることは、それだけで大きな支えになるのだと改めて感じた一日でした。
院長 小西宏明
2026-08-01 22:06:00
クリニックブログ
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