HOME医師のご紹介当院のご案内診療案内交通案内ギャラリー

クリニックブログ

知ることは備えること

知ることは備えること

年齢を重ねるにつれ、知人や友人が、がん、脳卒中、心臓病、認知症などを患うことが増えてきました。そして、残念ながら亡くなられた友人もいます。

先日のNHK「トリセツショー」で取り上げられた膵臓がんの「トリセツ」を印刷し、待合室に置くようにしたところ、ほぼ毎日どなたかが持ち帰られています。

ホームページからもダウンロードできますが、待合室には病気を抱えた患者さんやご家族がおられるため、一般の方以上に関心を持たれるのでしょう。

以前に置いていた「足のSOS」という血管障害のトリセツも、補充が追いつかないほど多くの方にお持ちいただきました。

がん、脳卒中、心臓病はいずれも日本人の主要な死因です。

一方、認知症そのものが直接の死因となることは多くありません。

しかし、患者さん本人だけではなく、ご家族や周囲の方々への影響という点では、他の病気とは少し性格が異なります。

認知症では、誰かが見守り、支え続けることが必要になる場面が少なくありません。

日本人には「人に迷惑を掛けたくない」という価値観があります。

「空気を読む」「忖度する」といった文化も、その延長線上にあるのかもしれません。

実際、診療の中でも高齢の患者さんから、

「いつか亡くなるのは仕方ありません。でも家族には迷惑を掛けたくありません」

という言葉を耳にすることが少なくありません。

介護には精神的な負担だけでなく、身体的、経済的な負担も伴います。

だからこそ、認知症への関心は今後ますます高まっていくのではないでしょうか。

最近では、認知機能障害や認知症の発症リスクを評価する血液検査も登場しています。

もちろん保険診療の対象ではなく、自費で数万円程度の費用が必要になります。

また、この検査は「認知症になる」と断定するものではなく、あくまでも将来のリスクを評価するための一つの情報です。そのため、結果の解釈には専門的な判断が欠かせません。

それでも医学の進歩には目を見張るものがあります。

私が研修医だった頃の常識が覆されたことも数多くありますし、当時は想像もできなかった治療法が、今では日常診療の中で行われています。

病気を治療するだけでなく、「将来を予測する医学」が現実になりつつあることは、非常に大きな変化だと思います。

もちろん、「知りたくない」と考える方もおられるでしょう。

一方で、リスクを知ることで生活習慣を見直したり、将来に備えたりできる病気もあります。

認知症についても、リスクが高いことが分かれば、運動や食生活、社会活動などを意識した生活につなげることができますし、ご家族も将来に備える心構えができます。

資産管理や生活設計を早めに考えることも、その一つかもしれません。

認知機能障害や認知症は、今後さらに患者数が増えることが予想され、研究も急速に進んでいます。

最終的な目標は根本的な治療法の確立ですが、それにはまだ時間が必要でしょう。

だからこそ今は、「予測できることは予測し、予防できることは予防する」という姿勢が大切なのだと思います。

認知症を脳の老化現象の一つと考えるならば、将来を見据えて行動することにも大きな意味があります。

チコちゃんの言葉を借りれば、「ボーッと生きている」だけではなく、自分の未来に少しだけ関心を持って備えることも、これからの健康づくりなのかもしれません。

院長 小西宏明

2026-08-04 21:11:00

クリニックブログ   |  コメント(0)

 

コメント

お名前
URL
コメント

地図はこちら

お問い合わせ、0138-83-2080
クリニックブログ
Page Top