スズキから、ついに電気の軽自動車が発表されました。
本日は一斉に自動車評論家や自動車雑誌が、袖ケ浦フォレストレースウェイで行われた試乗会の動画を配信しています。
これまで三菱、日産、ホンダなどが軽規格の電気自動車を発売しており、昨日は中国メーカーからも新しい軽EVが発表されました。
世界的には、トランプ政権が内燃機関車への回帰を打ち出したことなどから、電気自動車をめぐる雲行きは少し変わってきました。
昨年にはホンダやトヨタも、一部のEV計画を見直したり凍結したりしています。
そんな中で、なぜか日本の軽自動車だけは電気自動車の新型車が次々と登場しています。
興味があったので、今日は片っ端から試乗動画を見てみました。
すると、これまでとは少し違った視点に気付かされました。
それは、**「日本では軽EVに独特のニーズがあるのではないか」**ということです。
日本は人口減少が進み、自動車を利用する人も減っています。
特に地方の小さな町では、ガソリンスタンドの廃業が相次いでいます。
自家用車が生活の足であるにもかかわらず、ガソリンを入れるために片道30分、往復すれば1時間近く走らなければならない地域さえあります。
そう考えると、電気自動車の持つ別のメリットが見えてきます。
自宅で充電できることです。
今回のスズキは、ガソリンの軽自動車から違和感なく乗り換えられることをかなり意識して開発されたようです。
これまでの軽自動車と出来るだけ同じ使い勝手にすることで、EVへの乗り換えのハードルを下げています。
例えば電気自動車特有の、アクセルを踏んだ瞬間にグッと出る強い加速感を、あえてマイルドに味付けして、ガソリン車に近づけたそうです。
航続可能距離も約310km。
日常の買い物や通勤が中心であれば、ガソリン車の給油とそれほど変わらない頻度で充電すれば済むでしょう。
しかも、ガソリンスタンドへ行く必要はありません。
帰宅してコンセントにつなぎ、夜の間に充電しておけばいい。
これは地方の生活ではかなり大きなメリットだと思います。
さらに少しマニアックなところでは、車体剛性も注目されています。
今回の車体は、単純に既存のガソリン車からエンジンを取り外してEVにしたものではなく、電気自動車専用に開発されています。
床下の広い範囲にバッテリーを配置することで重心が低くなり、車体全体が「ズッシリ」とした印象になるそうです。
軽自動車に対して時々「ペラペラ」という表現が使われることがありますが、そうした従来の軽自動車とは一線を画す乗り味になるのかもしれません。
一方、EVならではの弱点もあります。
電気自動車は大容量の蓄電池を搭載しているため、災害時には家庭の電源として利用できます。
停電時の補助電源として使えるのは大きなメリットです。
しかし逆に言えば、電気が復旧しなければ充電できません。
ガソリン車なら、給油すれば再び走ることができます。
災害時のエネルギー供給という点では、ガソリンと電気にはそれぞれ一長一短があります。
さて、いつも辛口コメントで知られる某自動車評論家は、今回のスズキについて「華がない」という趣旨の評価をしていました。
確かに、対照的なのがホンダです。
ホンダにはN-ONEをはじめ、遊び心を感じさせる車作りがあります。
一方のスズキは、ジムニーに代表されるように、用途に合わせて実直に車を作るメーカーという印象があります。
今回の軽EVにも、その考え方がそのまま表れているように感じました。
パドルシフトやスポーツモード、ダイナミックモードなど、運転好きが喜ぶような装備を前面に出しているわけではありません。
「毎日の生活で使う車」として、必要なものをきちんと作る。
そんなスズキらしさがあります。
発売は秋頃の予定で、価格も現時点では公開されていません。
補助金の対象になるため、実際の購入価格がどの程度になるのかもまだ分かりません。
ただ、今日の試乗動画を見た限りでは、軽自動車を買い物や通勤のために日常的に使う人には、かなり大きなアピールを持った車だと感じました。
もちろん、売れるかどうかは最終的には価格が第一でしょう。
そして北海道で販売するなら、もうひとつ重要なのが冬です。
暖房能力はもちろん、乗車前に車内を暖めておく機能が必要です。
ガソリン車のエンジンスターターに相当する「出発前の予熱」が、北海道ではほぼ必須ではないでしょうか。
そう考えると、発売当初のターゲットは関東以西が中心になるのかもしれません。
個人的には、約10年前に電気自動車を所有していました。
あの独特の加速感は、今でも忘れられません。
昨年はホンダのN-ONEの電気自動車にも試乗しました。
電気自動車には、ガソリン車とは違う面白さがあります。
ただ、それ以上に今回興味を持ったのは、EVそのものよりも、**「軽自動車と地方の生活は相性が良いのではないか」**ということです。
ガソリンスタンドが減り、自動車を使わなければ生活できない地方が増えていく。
そこに、自宅で充電できる軽EVが入ってくる。
これは「環境に優しいからEVに乗りましょう」という話とは少し違います。
生活を維持するためのEVという考え方です。
人口減少、高齢化、公共交通機関の縮小、ガソリンスタンドの減少。
地方が抱える問題を考えると、軽EVは単なる新しい自動車ではなく、地域の生活インフラの一部になる可能性があります。
秋の発売が楽しみで、実際に試乗してみたいと思います。
院長 小西宏明
2026-08-24 21:06:00
クリニックブログ
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