都市部を中心としたマンション価格の高騰は、今や誰もが知るところとなりました。
その影響は新築マンションだけにとどまらず、中古マンション、さらには賃貸住宅にまで及んでいます。地方都市である札幌も例外ではありません。
最近、タワーマンションについて専門家が様々な分析をされています。その中で興味深いのが、高額になったマンションで実際に暮らしている人が意外に少ないということです。
つまり、住宅として購入するのではなく、投資目的で購入し、転売を繰り返して利益を得る。そうなると、本当にそこに住みたい人の手に住宅が渡りにくくなります。
神戸市では行政がマンションの実態を調査し、居住者が全戸の半分程度しかいないケースや、所有者の住民票がその住所にないケースなどが確認されているそうです。
もし本当に住みたい人がいるにもかかわらず、投資目的で所有されている部屋が増えているのであれば、これは単純な「住宅不足」とは違います。
需要はあるのに、住宅としての実質的な供給が足りない。
少し不思議な現象です。
函館にも、和光の跡地に大きなマンションがあります。
夜にその前を通ると、明かりの点いている部屋の割合が、ホテルの方が多いのではないかと思うほどです。
以前聞いた話では、避暑目的の別荘のように利用されている部屋もあるそうです。
もちろん所有者がどのように利用するかは基本的には自由です。しかし、マンションは一戸建てとは違い、そこに複数の所有者と居住者が集まって生活する共同住宅です。
そこで問題になってくるのが「管理」です。
以前、自宅マンションの管理組合理事を務めたことがあります。
大規模修繕などの大きな問題がなくても、定期理事会では様々な課題が出てきます。そして、年1回の定期総会で議決しなければならないこともあります。
ところが、そのためには区分所有者の参加、あるいは委任状などによる意思表示が必要です。
特に外国人が所有者の場合、登録されている国外の住所にまで連絡をしなければならないことがあります。さらに言語の問題もあります。
管理会社に任せれば全て解決するかというと、そうでもありません。
管理会社はあくまで管理を委託された会社です。住民側も、何が行われているのかをきちんと確認し、必要なことについて意思決定していかなければなりません。
おそらく現在のマンション管理に関する仕組みが作られた当初は、これほど多くの区分所有者が非居住者になることは想定されていなかったのではないでしょうか。
マンションは「住宅」であり、そこに人が住むことが大前提だったはずです。
ところが現在では、投資目的で所有する人、海外に居住している人、別荘として利用する人など、所有と居住が一致しないケースが増えています。
そうなると、マンションという一つの建物を共同で維持していくこと自体が難しくなります。
大きな運用変更には、区分所有者の一定割合以上の賛成が必要になります。
もし半分近くが非居住者で、しかも連絡をしても委任状すら返ってこないとなれば、必要な意思決定ができないという問題も起こり得ます。
これは単なるマンション管理の問題ではありません。
都市部では空室の多いマンションが増え、一方で地方では空き家や空き地が増えています。
理由は全く違いますが、共通しているのは、「そこに実際に住んでいる人」と「土地や建物を所有している人」が一致しなくなってきていることです。
そして、それは地域のコミュニティにも影響します。
地域というものは、最終的にはそこに住み続ける人たちによって作られるものだと思います。
投資目的で所有する人が悪いという話ではありません。資産をどのように保有するかは個人の自由です。
しかし、住宅や土地は金融商品であると同時に、地域社会を構成する一つの要素でもあります。
そこに住む人が減り、所有者が地域から離れていけば、地域のコミュニティはどうしても弱くなります。
地方では人口減少によって空き家や空き地が増えています。
一方、都市部では住宅価格が上昇し、投資目的の所有によって「住める住宅」が実質的に減っている可能性があります。
一見すると正反対の現象ですが、どちらもこれからの「街のあり方」を考える上で無視できない問題だと思います。
これからの街づくりは、単純に人口を増やせば良いというものでも、建物を増やせば良いというものでもありません。
実際にそこに住み、そこで生活し、そこで人生を送る人たちを中心に考える必要があります。
そのうえで行政には、目先の住宅供給だけではなく、人口動態、交通、医療、介護、商業、そして地域コミュニティまで含めた、もう少し長期的でグローバルな視点から街の将来像を示してもらいたいと思います。
明日は、年に1回開催される医師会主催の市の幹部との懇親会があります。
財政状況がもともと厳しい函館市が、これからどのような街を目指しているのか。
医療だけではなく、人口減少、高齢化、公共交通、住宅なども含めて、「函館市としてこれから何を考えているのか」を、少しざっくばらんに聞いてみたいと思います。
医療も街づくりの一部です。
明日は少し違った角度から函館の将来を考える機会になりそうです。
院長 小西宏明
2026-08-26 22:45:54
クリニックブログ
| コメント(0)