本日は、函館市の幹部の方々との懇親会でした。
毎年恒例の会で、今年も湯の川の旅館で行われました。
旅館に到着すると、学生さんのような若い人たちが大勢います。もしかするとクラブ活動の合宿なのかもしれません。
2階の宴会場スペースには「お食事場所」と書かれた看板があり、大広間には4人掛けのテーブルがたくさん並んでいました。18時過ぎでしたが、すでに何組かの家族が夕食を取っていました。
その光景を眺めながら、こうした旅館もまた函館の観光を支える大切な存在なのだと思いました。
さて、本会の目的は、**「議事録には残らない、ざっくばらんな行政と医師会との意見交換、情報共有」**です。
大泉市長も「お酒を酌み交わしての本音の情報交換」と話されていました。
ちなみに市長は最近、お酒をやめられたそうです。私も一緒にノンアルコールビールをいただきました。
最近のノンアルコール飲料は、ビールを筆頭に、酎ハイやカクテルなども含めて品質が随分と向上しています。目隠しをして飲まされたら、アルコール入りのビールと区別できないかもしれません。
そんな話から始まり、冒頭はお互いのメンバーの挨拶です。
医師会側は昨年同様、一人1分程度で自己紹介をしました。
私からは、函館市では人口減少以上の速度で開業医が減少しており、5年後には現在の形で休日当番を維持することがかなり難しくなるという話をしました。
また、最近の診療報酬改定など、医師を取り巻く環境が厳しくなっていることについても触れました。
別の先生からは、「高校生でも医師を志望する人が減っているように感じる」という話もありました。
医師不足は、単に現在の医師数だけを見ていても分かりません。
これから医師になる世代がどれだけいるのか、そして現在の医師が何歳まで診療を続けられるのか。両方を考えなければなりません。
そんな話をしていると、今日は能登地方でも線状降水帯が発生したというニュースが入ってきました。
千葉での豪雨被害に続き、また大きな災害になる可能性があります。
そこから函館の災害対策の話になり、松倉川などの洪水対策として、河川敷に生い茂った木々の伐採や川底の土砂の除去を要望された先生もいました。
医療機関そのものが被災すれば、そこを利用する住民への影響は非常に大きくなります。
そんな具合に幕が開き、あとは医療だけではなく、歓楽街の話題まで含めて、毎年ながらの実に「広範囲」な情報交換となりました。
その中で私が個人的に印象に残ったのは、函館―福岡の航空路線の復活です。
函館と福岡は、いずれも市街地と空港が比較的近いという共通点があります。
さらに、陸路と比較した場合の移動時間の差も大きいため、ビジネスでも観光でも十分な優位性をアピールできると思います。
こうした交通網は、単なる観光政策ではありません。
人口が減少する地方都市にとって、人や物が動くための交通手段は、その街の将来を左右する重要なインフラです。
一方で、市長からも話がありましたが、函館の人口減少を背景に、行政側も明るい話題より「これからどうしていこうか」と頭を抱える課題が山積しているそうです。
それに対して医師会長からも、2040年を待たず、5年後には医療提供体制の厳しさが明らかになるのではないかという強い危機感が示されました。
このことは、実は市民の皆さんにお伝えする機会があまりありません。
函館の人口はまだ20数万人もいるのだから、病気になればいつでもどこかの医療機関で診てもらえる。
多くの方は、何となくそう考えているのではないでしょうか。
しかし、問題はそこではありません。
医療の問題は、窓口で何割負担するかだけではないのです。
本質的な問題は、医師、特に開業医が減少することによって、日常的に医療を受ける機会そのものが失われていくことです。
例えば、5年後には小児科や外科の休日診療を現在と同じ形で維持することは難しくなると予想されています。
夜間急病センターについても、今の体制をそのまま維持するためには、何らかの体制変更が必要になるでしょう。
昨年亡くなられた夜間急病センター専属の先生は86歳でした。
これから先、86歳まで現役で頑張っていただける先生が次々に現れるとは、とても思えません。
だからこそ、今のうちに仕組みそのものを考え直す必要があります。
懇親会の中では、某病院長から興味深い話もありました。
行政の施策を実際に変えていくためには、最終的には議会の承認が必要になる。そのためには議員への働きかけや、市長への要望も欠かせないということです。
これは医療に少し似ています。
病気を治すためには、良い医師に出会うことが重要です。
同じように、行政の課題という「病気」を改善するためにも、問題意識を共有し、同じ方向を向いてくれる政治家と行政が必要なのだと思います。
もちろん政治家だけに任せれば良いという話でもありません。
医療についても、我々医師が「困っている」と言うだけでは何も変わりません。
現状をデータで示し、将来を予測し、どうすれば維持できるのかを考え、行政や市民に伝えていく必要があります。
そう考えると、今回のような「議事録に残らない懇親会」も、単なる宴会ではありません。
普段の正式な会議ではなかなか出てこない本音を聞くことができますし、行政と医療が同じ街の将来を考える貴重な場でもあります。
次に皆さんとお目にかかるのは新年会です。
最後には「来年はワイナリーでやろう」という話で盛り上がりました。
こういう話も大切です。
街を元気にするには、行政が先頭に立つだけでも、医師会だけが頑張るだけでもありません。
行政、医療、産業、そしてそこに住む市民が、それぞれの立場から同じ街の未来を考えることが必要です。
人口が減る。
医師も減る。
財政も厳しい。
明るい材料ばかりではありません。
それでも「どうしていこうか」と皆で顔を合わせて話せること自体が、地域にとっては大切な力なのかもしれません。
函館をこれからどういう街にしていくのか。
医療だけでなく、交通、観光、産業、そして人の暮らしまで含めて、そろそろ真剣に考える時期に来ていると思います。
院長 小西宏明
2026-08-27 21:26:00
クリニックブログ
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