昨晩遅く、知り合いからメールが届きました。
友人が咽頭癌と診断され、近々放射線治療が始まる予定だが、セカンドオピニオンを受けた方がよいだろうか、という相談でした。幸いリンパ節転移や遠隔転移はないとのことです。
画像など詳しい情報がないため、私自身も判断しにくい内容でした。ただ、局所の痛みが強く、できるだけ早く治療を始めたいとのこと。
還暦を過ぎると、親戚や同級生などから病気について相談される機会が増えてきます。大学時代の友人でも、専門領域が違えば最先端の治療や、どこの病院・医師に相談すればよいか分からないことがあります。
幸い私は関西の大学を卒業し、その後は関東でも仕事をしていたため、全国に医師の知り合いがいます。頭のてっぺんから足先まで、「この病気なら彼」という具合に相談できる医師がいます。
今回も東京の病院の友人や現役の大学教授、名誉教授などに相談しました。
結果として、現在の病院で予定されている治療は標準的なものであり、予定通り進めてよいだろうという結論になりました。
一般の方にとって、セカンドオピニオンは決して簡単ではありません。担当医に言い出しにくい、どこに相談すればよいのか分からない。そしてネットや口コミだけでは、情報の確かさにも限界があります。
今回改めて考えたのが、**「専門医バイアス」**です。
この患者さんは数ヶ月前から喉に違和感があったそうです。
近所の耳鼻科で治療されていましたが、なかなか軽快しないため、自ら御願いして大きな病院へ紹介してもらいました。
専門領域だからこそ、自分の診断に自信を持ち、自分で治療しようとする。もちろん専門性は重要ですが、それが時に「自分は間違っていない」という思い込みにつながることがあります。
人間は、一度「正しい」と判断したことを途中で修正するのが苦手です。
先日の京都大学脳神経外科の医療事故も思い出しました。詳細は分かりませんが、同様の手術を多数経験していた医師が、正常組織を腫瘍と判断して摘除してしまったと報じられています。
医療に限らず、「思い込み」による失敗は誰にでもあります。
だからこそ、一度立ち止まって考え直すこと、他人の意見に耳を傾けることが大切です。
他人に相談することは、決して自分の能力不足ではありません。
むしろ、医療におけるダブルチェックなのだと思います。
来週から放射線治療が始まるそうです。幸い治療効果が期待できる癌とのこと。まだ50歳代、働き盛りです。
辛い治療になると思いますが、無事に乗り越えて元気になってほしいと願っています。
院長 小西宏明
2026-09-12 21:30:00
クリニックブログ
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