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開業という夢に、横なぐりの雨

開業という夢に、横なぐりの雨

来週、道南地区で内科の診療所がオープンします。久しぶりの内科系の開業だと思います。ところが、ある先生から聞いたところでは、開業に際してかなり多額の資金が必要だったそうです。

都内に住む友人からも、「中堅の先生方の開業意欲はかなり削がれている」と聞きました。理由はいくつかあります。

一つは建築費です。資材費や人件費の高騰で、建築費は10年前に比べ大幅に上昇しています。もう一つは診療報酬です。2026年度改定は6月から施行され、賃上げ・物価対応としてベースアップ評価料が見直される一方、医療機関の収支は診療所と病院で影響が異なります。

さらに人件費と物価の上昇です。今年度の最低賃金は全国加重平均で56円引き上げられ、過去2番目の大きな引き上げとなりました。 医療材料費も上昇しています。

開業には多額の借入が必要で、その返済計画が経営の土台になります。私自身、クリニック経営を経験してみて、借入金の返済がいかに大きな負担になるかを実感しました。当院が開業した頃は金利も低い時代でしたが、これから開業する先生方には、金利負担もボディーブローのように効いてくるでしょう。

また、循環器内科、心臓血管外科、消化器外科、小児外科など、負担が大きく人材確保が課題となっている診療領域への評価が設けられています。一方で、こうした診療科を志望する若い医師が減っている現状を考えると、単に報酬を上げれば解決する問題でもありません。

40歳代といえば、体力も知力も充実し、「一国一城の主」を目指したい時期です。ところが今、その夢の前には建築費、人件費、物価、金利、そして診療報酬という高い壁があります。

銀行にとっては「金利のある世界」は晴れた日なのかもしれません。傘をさそうとしてくれます。しかし医療の街には、横なぐりの雨が降っています。頭は傘で守れても、足元はすぐにずぶ濡れです。

医療を医師個人の倫理観や奉仕の精神だけに頼る時代は、もう終わりにすべきでしょう。若い医師が希望を持って地域医療を担えるよう、診療報酬の裏付けとともに、保険外診療の自由度についても議論する時期に来ていると思います。

院長 小西宏明

2026-10-03 21:00:00

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